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2001/05/08
マイク・モチヅキ氏 演会講 「ブッシュ政権下のアジア政策」

於:キャピトル東急ホテル

講演の冒頭、モチヅキ教授は通常米国の新政権は前政権の政策を全面否定するが、一定期間後に修正する場合が多いので注意が必要であるとした上で、それを考慮してもブッシュ政権の日本重視は明確であり、次のような基本的変化があると指摘を行った。  まず、米国のアジア政策の根幹としては、1)日本がアジアにおける最重要国、2)中国は「戦略的競争者」、3)台湾の国益重視、4)北朝鮮への断固たる態度、の4点がある。一方、日本が最重要国であっても、米国からの圧力が低くなったわけではないし、中国軽視にも批判が多い。とりわけ、米国 の対中政策は、米国内に対中強硬派と宥和派の2つのグループがあるため、コンゲージメント、すなわちコンテインメントとエンゲージメントの混合戦略的なものになっている。また、民主党左派が人権問題のため、共和党右派同様に対中強硬路線を主張するなど、米国内の動きも複雑である。

一方、対中姿勢と表裏一体に台湾政策がある。今回、ブッシュ政権はイージス艦の台湾売却は見送ったが、潜水  艦など要望の強かった多くの武器売却を決定しており、中国は強く反発している。今後はNMDの問題もあり、中国とはさらなる応酬が予測される。  次に、ブッシュ政権の北朝鮮政策は、現時点では不明確な部分があり、未決定部分が大きい。ただ、ジュネーブ合意には批判的であり、北朝鮮の恫喝にも応じない姿勢が強いため、金大中政権の太陽政策とは調整が必要になる。  さらに、日本では日米関係の好調な滑り出しから日米関係全体を安堵した見方が出始めているが早計は禁物であり、日本に対する期待が大きい分、今後、要求が強まってくる。日本は米英関係をモデルとして迅速で柔軟な対応を採ることが必要である。

最後に、モチヅキ教授は、質疑応答を通じた個別の指摘として、米中関係悪化には冷戦終結以後の構造的部分があること、米欧関係の現在の不調和は必ずしも関係悪化を意味しないこと、ブッシュ政権は小泉内閣の構造改革を歓迎するし、政権が幾つ代わったとしても構造改革が進んでいくことは好ましいことであるなどを指摘し、講演を締めくくった。  (大濱)

※この講演会は日本財団の助成事業により行っております。

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