組織の沿革
研究所の沿革
創設者・初代会長中曽根康弘は、総理時代、日本には政治経済の調査や政策立案を行う有力な公益法人が少ないことを痛感し、外国の代表的な機関に遜色のない研究所の設立を決心しました。
そして、1988年6月28日、国際社会が直面する重要課題について内外の良識と英知を結集し、自由な立場から深く考察し、創造的かつ建設的な提言を広く発信する政策研究提言機関を目指して、財団法人世界平和研究所(IIGP : International Institute for Global Peace)を創設しました。総理府・防衛庁・経済企画庁・外務省・大蔵省及び通商産業省の6省庁を主務官庁として、政府が必要な協力を行うという閣議了解を得て発足しました。
初代会長は、外交・安全保障問題のみならず、国内外の政治、経済問題、その他の分野についても総合的な政策提言を重視し、自身も錚々たる有識者とともに多くの提言を執筆しました。とくに2005年には、「憲法改正試案」を発表し、世の中の議論に一石を投じました。また、国際的な知的交流を促進するため、欧米はもちろん、アジア諸国との交流も重視して、1993年に北京で日中フォーラム、2002年に台北で日台フォーラム、2010年には東京で東京ソウルフォーラムを立ち上げ、継続的に活動しています。さらに、国際的に業績をあげている若い世代を対象として、2004年に中曽根康弘賞を創設しました。若者の努力を讃えつつ新たな活動を奨励することで、真に平和で豊かな国際社会の実現に資することを目的としています。
その後、2011年に公益財団法人に移行し、2018年1月には「公益財団法人中曽根康弘世界平和研究所(NPI:Nakasone Peace Institute)」に名称を変更しました。「中曽根平和研究所」は通称名として使用しております。2020年には、公益財団法人青雲塾の解散に伴い、資料及び施設等の寄贈を受け、「中曽根康弘資料館(通称:青雲塾記念会館)」を開設しました。ここでは一般市民及び研究者に向けて、日本の戦後政治・外交史に資する調査・研究及び教育の場を提供しています。
世界情勢は刻々と変化すれど、初代会長・中曽根康弘が記した「設立趣意書」の意図は今も色褪せていないと考え、その精神に則り、来るべき時代を見据えながらさまざまな活動を展開してまいります。
今後とも皆様からの変わらぬ御鞭撻・御厚情を宜しくお願い申し上げます。
主な歴史
1988年
3月
「世界平和研究所開設準備室」開設
6月
「財団法人世界平和研究所」(IIGP: International Institute for Global Peace)
設立許可、閣議了解
初代会長・初代理事長 中曽根康弘
1989年
11月
IIGP news/日本語版 Vol.1 No.1 発行
12月
IIGP news/英語版Vol.1 No.1 発行
会長広報誌「麹町だより」第一号発行
1993年
10月
第1回 日中フォーラム(北京)開催
英文名称をIIGP: International Institute for Global Peaceから
IIPS: Institute for International Policy Studiesへ変更
1994年
1月
英文学術誌 Asia-Pacific Review 第1号発行
2001年
1月
「日本の総合戦略大綱」発表
2002年
第1回 日台フォーラム(台北)開催
2005年
1月
「憲法改正試案」発表
6月
第1回 中曽根康弘賞授賞式を開催
2006年
9月
「21世紀日本の国家像」発表
2008年
1月
米国外交政策研究所(FPRI:Foreign Policy Research Organizations)より、
世界のシンクタンクTOP30に選出される
2010年
10月
「IIGP news」の発展形として日本語の機関誌「Quarterly」を創刊
第1回 東京ソウルフォーラム(東京) 開催
2011年
4月
公益財団法人へ移行
「日米同盟とは何か」「教育改革試案」発表
2013年
10月
「世界平和研究所創立25周年記念提言 - 平成50年、世界で輝く日本たれ」発表
2018年
1月
名称を「公益財団法人中曽根康弘世界平和研究所
(NPI:Nakasone Peace Institute)」に変更
11月
「設立30周年記念政策論集」発表
2019年
3月
NPIメールマガジン創刊
2020年
11月
中曽根康弘資料館/青雲塾(群馬県高崎市)を継承
2021年
10月
第2代会長 麻生太郎 就任
歴代会長
初代 | 中曽根 康弘(元内閣総理大臣) |
第2代 | 麻生 太郎(元内閣総理大臣) |
歴代理事長
初代 | 中曽根 康弘(元内閣総理大臣) |
第2代 | 平岩 外四(元東京電力会長) |
第3代 | 八尋 俊邦(元三井物産会長) |
第4代 | 大河原 良雄(元駐米大使) |
第5代 | 佐藤 謙(元防衛省事務次官) |
第6代 | 藤崎 一郎(元駐米大使) |
第7代 | 中曽根 弘文(参議院議員) |
歴代研究本部長
初代 | 佐藤 誠三郎(東京大学教授) |
第2代 | 薬師寺 泰蔵(慶応大学教授) |
第3代 | 北岡 伸一(東京大学教授) |
第4代 | 久保 文明(東京大学教授) |
第5代 | 川島 真(東京大学大学院教授) |
創設者・初代会長中曽根康弘の趣意書
昭和63年5月17日
現在、国際社会は大きな転換期に入っている。近年における国際通貨・貿易体制の著しい不安定化や、米ソ両超大国の指導力の相対的後退は、第二次大戦以降の国際関係の基本的枠組みが変容しつつあることを示す証左にほかならない。従来のシステムが機能不全に陥りながら、新しい枠組みが出現していないという転換期は、とりわけ危険に満ちた不安定な過渡期である。破滅的な全面戦争から、内乱やテロリズムに至るまで、現在の世界は、多くの潜在的・顕在的脅威にさらされている。経済摩擦の激化や、累積債務間題の深刻化等により、自由な経済秩序が崩壊する危険も無視しえない。
このような危険な過渡期を乗り切り、より平和で繁栄した世界を構築するためには、状況の変化と問題の所在、及び解決の方途を的確に見通す洞察力、構想力が何よりも強く求められる。
とりわけ、我が国が、その向上した国際的地位にふさわしい指導力を、単に経済分野においてのみでなく、知的、政策的分野においても果たすことが喫緊の課題となっている。
しかるに、これまで我が国には、内外の良識と英知を広く結集し、国際社会が直面する重要課題について、自由な立場から深く考察し、創造的かつ建設的な提言を世界に対して行う努力が極めて不十分であった。我が国の国際的な地位と責任が高まり、そしてアジア・太平洋地域の重要性が注目されているにもかかわらず、我が国からの、また、アジア・大平洋地域からの発言・発信は、今なお、余りにも微弱なのである。国際的に高い名声と大きな影響力を持つ国際問題研究機関を我が国に育成することは、国際国家の実現を目指す我が国にとって、不可欠の事業といって過言ではない。
このような状況に鑑み、我々は、世界的な視野を持ち、国際的に開かれた政策研究・提言機関として、ここに財団法人世界平和研究所を設立し、より平和で繁栄した世界の実現に寄与しようとするものである。
閣議了解
昭和63年6月28日
財団法人世界平和研究所の行う事業について
財団法人世界平和研究所が行う調査研究、国際交流、研究援助等の事業が、安全保障の確保及び国際経済の健全な発展を通じて世界の平和と繁栄に寄与し、我が国の国際的責務の一端を担おうとするものであることにかんがみ、その実施に関し、関係行政機関は、必要な協力を行うものとする。