2014/11/21
第13回「日台対話2014」を台北で開催しました。
日台対話2014は、当世界平和研究所と遠景基金会の共催により、11月21日に台北で開催された。本対話は、2002年以来日本・台湾の有識者が毎年交互に訪問し、アジアの政治・経済・安全保障等について自由かつ広範に議論するもので、今回で13回目を迎えた。
今次会合の総合テーマは、「東アジア情勢の展望と日台中関係」として行われた。日本からは、佐藤謙 世界平和研究所理事長、藤崎一郎 世界平和研究所副理事長、川島真 世界平和研究所上席研究員・東京大学准教授、佐々木伸彦 東京海上日動火災保険株式会社顧問、吉田正紀 慶応義塾大学特別招聘教授、伊藤信悟 みずほ総合研究所調査本部アジア調査部中国室長等が参加した。台湾からは左正東 遠景基金会執行長、欧鴻錬 対外関係協会会長、張五岳 淡江大学中国大陸研究所副教授兼所長、蘭寧利 国家政策研究基金会政策委員、劉大年 国家安全会議副秘書長、徐純芳 中華民国全国工業連盟上席顧問、邸坤玄 国家安全会議諮問委員、何思慎 輔仁大学日本語学科教授、孫揚明 遠景基金会副執行長等が参加した。
会合では、日本の安全保障政策の進展、習近平体制下の中国の内政・外交政策、新たな安全保障環境下での米国のリバランス政策、東アジアにおける経済連携の進展などを踏まえて、「中国大陸情勢と日中、両岸関係」、「東アジアの安全保障情勢と日台関係」「アジア太平洋における経済連携の現状~日台が果たせる役割」の3つのセッションを設定した。
第1セッションでは、「中国大陸情勢と日中、両岸関係」をテーマに、欧鴻錬 対外関係協会会長を議長として、張五岳 淡江大学中国大陸研究所副教授兼所長、川島真 世界平和研究所上席研究員、東京大学准教授から報告があり、その後ディスカッションが行われた。中国は、欧米の国からみると、政治的に協力可能な国な存在であるとともに、経済面で高く評価されていること、最近は低迷しつつも6年間続いている両岸関係の平和と安定に変化を来さないように工夫を凝らすことが日台中を含む国際社会にとって重要であること、中国との今後の関係において、二国間及び多国間の協議の場を設けておく必要があること、政経分離の確保を図ることが大切であること、環境問題や経済問題等で可能なものから協力を進めていくことが重要であること等について議論が行われた。
第2セッションでは、「東アジアの安全保障情勢と日台関係」をテーマに、藤崎一郎 世界平和研究所副理事長を議長として、吉田正紀 慶応義塾大学特別招聘教授、蘭寧利 国家政策研究基金会政策委員から報告があり、その後ディスカッションが行われた。台湾側からは台湾を取り巻く厳しい情勢認識をもとに、日本が東アジア地域の安全保障のために果たす役割についての期待が示された。日台は、地域の平和と安定のためには日米台の関係が重要であるとの共通認識に基づき、セカンド・トラックで日台交流を進める方策について意見交換を実施した。
第3セッションでは、「アジア太平洋における経済連携の現状~日台が果たせる役割」をテーマに劉大年 国家安全会議副秘書長を議長として、徐純芳 中華民国全国工業連盟上席顧問、伊藤信悟 みずほ総合研究所調査本部アジア調査部中国室長、佐々木伸彦 東京海上日動火災保険株式会社顧問から報告があり、その後ディスカッションが行われた。貿易歪曲効果を持つFTAが増加する中で、日台双方がアジア太平洋地域のサプライチェーンの輪の中から取り残されないよう経済連携に積極的に参加することが重要であること、日台の企業の連携に関して、中央・地方政府や経済団体等が、引き続き新興国市場でのパートナー探しの情報共有の支援や研究開発支援を強化していくことが大切であること等について意見が交わされた。