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2016/12/16
第15回「日台対話2016」を台北市で開催しました。

日台対話2016は、当世界平和研究所(IIPS)と遠景基金会の共催により、121日に台北で開催された。本対話は、2002年以来日本・台湾の有識者が毎年交互に訪問し、アジアの政治・経済・安全保障等について自由かつ広範に議論するもので、今回で15回目を迎えた。今次会合では、日本からは、佐藤謙・IIPS理事長、荒井寿光・IIPS副理事長等が参加し、台湾からは頼怡忠・遠景基金会執行長、羅福全・台湾安保協会名誉理事長等の参加を得た。

本会合の総合テーマは「新たな日台中関係の展望」として、台湾での蔡英文政権の発足、中国経済の減速の影響やTPP等地域経済連携に関する動き、北朝鮮や南シナ海・東シナ海を巡る動きなど、様々な環境の変化を踏まえて、「蔡英文政権と東アジア国際関係」、「東アジア経済の現状と展望」「東アジアの安全保障情勢」の3つのセッションを設定した。

1セッションでは、「蔡英文政権と東アジア国際関係」をテーマに、頼怡忠・遠景基金会執行長を議長として、川島真・IIPS上席研究員、李明峻・台湾北東アジア学会秘書長からの報告に引き続き、ディスカッションを実施した。米国におけるトランプ新政権への移行に対しては、アジア太平洋地域に対する米国のコミットメントが安全保障・経済双方の面で引き続き不可欠であり、価値観を共有する重要なパートナーである日台が米国に働きかけていくことの重要性を確認するとともに、日台ともに経済面・安全保障面で重要な関係にある中国の政策的動向について意見を交換した。また、日台間の極めて良好な市民感情を基に、双方がさらに市民交流を推進し、相互理解を深め、様々な分野での協力を深化させていくべきである等の意見が交わされた。

2セッションでは、「東アジア経済の現状と展望」をテーマに、荒井寿光・IIPS副理事長を議長として、洪財隆・新境界基金会上級研究員、酒向浩二・みずほ総合研究所調査本部アジア調査部上席主任研究員が報告を行った後、ディスカッションが実施された。米国のトランプ次期大統領がTPPからの撤退を表明している中、アジア地域に関する地域経済協定の行方について意見が交わされたほか、アジア地域(とくに東南アジア)での市場開拓に向けた日台の経済連携について、人材や人的ネットワークの育成・交流の重要性、「質の高い」インフラ投資や防災・医療産業での協力の可能性等が指摘された。経済連携のあり方、協力関係をどう発展させるかについては、引き続き日台で議論して理解を深め、協力のあり方を模索していくことが重要であるとの認識が共有された。

3セッションでは、「東アジアの安全保障情勢」をテーマに、羅福全・台湾安保協会名誉理事長を議長として、香田洋二・元自衛艦隊司令官(元海将)、河野真理子・早稲田大学法学学術院教授による報告、蔡明彦・中興大学教授の報告論文に対するコメントの後、ディスカッションを実施した。ここでは、まず、北朝鮮の核・弾道ミサイル開発の動向、東シナ海および南シナ海における中国の海洋進出の動向につき、意見を交換した。そして、南シナ海および台湾海峡といった海域における安定した海洋秩序と法の支配が日台双方において重要であること、地域の安定のために日台が連携することが重要であること等につき、認識を共有するとともに、その具体的方策に関する活発な議論が展開された。

最後に、米国における新政権への移行も加わり、日台を取り巻く状況が大きく変わろうとしている中で、日台の協力と良好な関係をより深め、持続可能なものとするため、本会合のようなトラック2対話が重要であるという点で一致し、今次対話を終了した。

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