2018/02/28
第10回「日中関係シンポジウム」を北京で開催しました。
(前列左から、福本元海上自衛隊幹部学校長、佐藤NPI理事長、長島衆議院議員、1人おいて渡邉NPI顧問、呉外交学会会長、中曽根NPI副会長、1人おいて横井在中国大使。2列目左から4人目北岡NPI研究本部長、1人おいて岡嵜キヤノングローバル戦略研究所研究主幹、2人おいて岩永日中経済協会北京事務所長)
中曽根康弘世界平和研究所(NPI)と中国人民外交学会は2018年2月5日、「第10回日中関係シンポジウム」を北京で開催した。本シンポジウムは、政治・安全保障・経済・国民交流等に関する日中間に横たわる課題を議論することを目的としたものであり、2007年に日中国交正常化35周年を記念して始まって以来、両国の関係者が交互に訪問する形式を採ってきた。
今回、日本から、中曽根弘文NPI副会長を団長とする11名の代表団が訪中し、中国からは呉海龍人民外交学会会長を含めた26名が議論に加わった。当日夜のレセプションでは、唐家璇・人民外交学会最高顧問(元国務委員)から歓迎の意が表され、日本側代表団の中曽根NPI副会長が答礼した。
シンポジウム開会式では、呉外交学会会長、佐藤NPI理事長及び横井裕・在中国日本国特命全権大使が挨拶を行った。いずれの挨拶の中でも、本年は日中平和友好条約40周年を迎える節目に当たり、両国関係を改善・発展させる必要があり、その意味で今回のシンポジウムは時宜を得たものである旨述べられた。
第1セッションでは、「戦略的互恵関係の推進とアジア地域の平和安全の維持」をテーマに、崔立如・元中国現代国際関係研究員院長を議長として、高洪・中国社会科学院日本研究所長と福本出・元海上自衛隊幹部学校長から報告があり、その後、コメンテーターの長島昭久・衆議院議員、北岡伸一・NPI研究本部長/国際協力機構(JICA)理事長も交え、意見交換を実施した。双方から相手国の軍拡に対する懸念が表明されたが、一方で、福本元海上自衛隊幹部学校長が報告の中で提示した「東アジア海洋安全保障機構(OMSEA)」創設に関して日中双方の参加者から賛同が得られたのは今回の大きな成果であった。また、長島議員より海空連絡メカニズムのロードマップ作りに取りかかり、その流れを両国関係改善の足掛かりとする旨及び「東アジアの海洋安全保障に関する中曽根提言」の中国語版を作成する旨の提案があった(後者の中国語訳はさっそく作成され中国側に送付された)。
第2セッションでは、「日中経済協力の深化と地域や世界の繁栄の促進」をテーマに、佐藤NPI理事長を議長として、岡嵜久実子・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹と張季風・中国社会科学院日本研究所副所長から報告があり、その後、意見交換を実施した。中国の進める「一帯一路」での両国の協力のあり方を含め様々な意見があったが、①経済関係は日中関係の基盤であり、日中関係が張り詰めた時は「安定装置」、逆に、良い時は「ブースター」となること、②日中両国はウィン・ウィンで協力していくことができる、例えば、世界の保護主義の動きの中で自由貿易を守っていく通商面での協力、少子高齢化や環境面等での産業協力があること、で考えが一致した。
第3セッションでは、「新しい時期に民間外交の役割を発揮し、日中友好を促進」をテーマに、馮昭奎・中国社会科学院栄誉学部委員を議長として、王衆一・「人民中国」総編集長と岩永正嗣・日中経済協会北京事務所長から報告があり、その後、コメンテーターの渡邉秀央NPI顧問/元郵政大臣/元中曽根内閣官房副長官も交え、意見交換を実施した。日中の間の友好の基盤は民間外交にありとの認識で、この1、2年の両国の関係回復を踏まえて、産業、メディア、文化等様々な分野で一層の関係拡大・拡充を進めるべきという点で意見の一致を見た。
シンポジウムと夜のレセプション全体を通じ、NPIと人民外交学会の協力、日中両国の協力を一層進めて行く旨確認された。