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外交・安全保障

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2018/11/12
「知りたいことを聞く」シリーズ No.1 「習近平政権の安定性と米中貿易摩擦」(川島真上席研究員)

中曽根平和研究所では、「知りたいことを聞く」シリーズ第一弾として、「習近平政権の安定性と米中貿易摩擦」と題して、川島真東京大学教授(当研究所上席研究員)と会員との意見交換を、下記の通りにて開催しました。議論の概要は下記3のとおりですが、オフレコを前提としていますので、これ以上の詳細は割愛いたします。

なお、この会合は従来型の講演会でなく、はじめ藤崎理事長がいくつか質問した後、会員出席者から質問する形をとっています。第二回は11月19日に久保文明東大教授による「米中間選挙の評価と今後の日米関係」、12月21日に金杉憲治外務省アジア大洋州局長による「最近の北東アジア情勢」を予定しています。

1 日 時:平成30年10月31日(水) 14:00-15:30
2 場 所:中曽根平和研究所 大会議室

3 概 要

(1)習近平政権の安定性

1981年から2017年までの間、主要矛盾に変化はなく、トップの任期が定められ、集団指導体制により権力が分散され、党主席や国家主席の選出方法も比較的透明化され、習近平もその方式で選出された。一方で集団指導体制下にある胡錦濤政権下では統治にレジリエンスが認められたが、大きな決断ができないという批判もあった。そのため、習近平には一定程度権力を集中させたが、そのために統治のレジレンスが失われたものの、胡錦濤時代には存在しなかった「デジタルパワー」により、国民一人一人の動きを全部把握できるようになり、国内を強く統制できることになった。

他方、中央政府が強権を持つ一方で地方や社会では中央の命を必ずしも十分に実行せず、また地方財政が困難に直面するなかで、かつて朱鎔基が中央に集めた財源や権限を地方に戻されるなどしている。こうしたこともあり、習近平体制は盤石とは言えない。

2 米中関係

 中国に対する米の厳しい対応は、一部には、トランプ大統領の気まぐれで中間選挙までだろうと予想されていたが、今やこのような対中姿勢は党派を超えたものとなっている。この点は中国も見誤った。一方で中国も、今年に入ってから新たに何か悪いことをしたわけでもなく、またアメリカ内部でもこの厳しい姿勢の意味について脱エゲージメント、あるいはエンゲージの継続などで大きく割れており、中国側としては何をしたら米国が収まるのかつかみきれていない。

そうした中で、株価や人民元が下落するといった悪影響があり、対外協力を伴う一帯一路への反発や、トランプへの対応を誤ったとして習近平への批判がなされている。

3 日中関係

 先般安倍総理が訪中したばかりだが、現状は条件付きの短期的な接近と思われる。一方で、米中の関係悪化が長期化すれば、日中接近は続くこともありえる。結局日中関係は経済状況に左右され、中国が経済を重視すると日本に接近する面もある。中国からすれば、安倍総理からトランプの話を聞けるメリットはあるのだろう。

一帯一路への日本の姿勢、すなわち4条件を課していることは変わっていないが、中国はそれらを受け入れてはいない。なお、一帯一路については、確かに昨今批判も少なくないものの、途上国側からしても、中国の支援を拒否したところで欧米が代わって資金を提供してくれるわけではないので、中国の影響力は変わらない。

以上

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