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2020/07/21
高橋主任研究員による研究レポート「新型コロナウイルス感染症の重症者はなぜ減ったのか:東京都データの分析から」を掲載しました。

高橋主任研究員による研究レポート「新型コロナウイルス感染症の重症者はなぜ減ったのか:東京都データの分析から」を掲載しました。

本文(pdf)はこちらダウンロードできます。

(概要)

新型コロナウイルス感染症対策として死者数の抑制こそが政策目標である。最初は軽症でも急速に重症化すること、死者数は新規陽性患者の増加に遅れて増えることはこれまでも指摘されている。では死者数に重症者の増加がどのように影響しているのであろうか。しかし、それを統計的に解析したものは見当たらない。本稿では死者数が全国の33%を占め、都道府県別で最大である東京都のデータから探る。

 データ分析の結果、東京都の発症日ベースでの新規感染者数は3月末がピークとされているが、重症は4月末がピークで、死亡日でみると死亡のピークは5月であった。4月29日の重症者のピーク(105人)までの重症者数の上昇要因を分解すると、新規重症者、軽症・中等症者の重症化が押し上げ要因、死亡が押し下げ要因となっている。つまり、死者を出さずにいた場合、ICU病床数は221床必要だったとも言える。一方、ピークから6月末までの重症者数の減少要因を分解すると、死亡(199人)が大きな押し下げ要因となっていた。つまり、ピークから重症者が減ったのは回復した者が増えたからではなく、死亡によるものであることが明らかになった。

現在の感染拡大が再び重症化→死亡につながってしまうのであろうか。軽症・中等症からの重症化が増えるかが鍵となる。5月26日から7月7日に陽性が公表された者の入院・療養率をみると、陽性判明から10日以上経っているにも関わらず、高齢者ほど高い。そのうち、死亡率が高い70代以上の感染者で現在、入院・療養中の者が72人いる。この方たちが早期診断・早期入院治療が実現していて重症化しないで済むかが重要になる。

また、今後、病院や介護施設などでこうした集団感染が多発しないかが重症者数、そして死亡者数に影響していく。病院や介護施設などでの集団感染防止対策として、米国疾病対策管理センター(CDC, 2020)が地域コミュニティの感染率や入院率などを踏まえて、事前防御のために推奨しているサーベイランス目的での施設全体への検査実施をエピセンター化している新宿区などで実施することが考えられる。

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