2021/10/28
米国政治外交研究会・コメンタリー「対ロシア政策をめぐるアメリカ国内政治 ―トランプ政権4年の変化に注目して―」(西住祐亮・中央大学兼任講師/NPI協力研究員)を掲載しました。
「大国間競争の時代」とも称される今日の国際政治において、アメリカとロシアの関係は、最も重要な二国間関係の一つであり、様々な分野で両国の動きが注目の的になっている。他方、アメリカにとってのロシアは、いわゆる「ロシア疑惑」や「ウクライナ疑惑」に象徴されるように、国内政治の文脈においても重要な存在である。また、プーチン大統領への共感を示すトランプ氏がアメリカの大統領になったことで、対ロシア政策をめぐる党派対立図式の変容も指摘されるようになった。
従来の共和党は、総じて民主党よりもロシアに対して厳しい姿勢をとり、また、対ロシア強硬論でまとまりも見せてきた。しかしトランプ政権の4年で、こうした図式は大きく揺らぐことになった。共和党が対ロシア政策に関する党内の不一致を露呈する場面が増え、また、民主党の側から共和党に向けて、「対ロシア弱腰」を批判する声が増加したのである。
このコメンタリーでは、こうした後者の国内政治の問題に焦点を当てて、トランプ政権4年を振り返り、また、バイデン政権発足後の状況把握も試みる。