2022/02/14
経済社会研究会コメンタリーNo.10「新型コロナウイルス感染症:各国の対応と日本社会への影響」(崎坂香屋子・帝京大学大学院公衆衛生学研究科准教授)を掲載しました。
1 「都市型・富裕層型」感染症の横顔
2019年12月中国湖北省で59人が原因不明のウイルス性肺炎に罹患、これが新型コロナウイルス感染症の発端とされる1)。2020年1月14日に世界保健機関 (World Health Organization:以降WHO)がこのウイルス性肺炎から新型コロナウイルスが検出されたことを発表、翌2月11日、WHOは新型コロナウイルス感染症をCOVID-19と命名した。わずか1か月後の2020年3月11日、WHOは世界全体で感染者12万人、死者4300人の発生を確認した時点で「COVID-19による感染症の世界的流行爆発」を意味する「pandemic」を宣言した1)。日本においてはこの時点ではCOVID-19はまだ対岸の火事であった。日本がこの正体不明の感染症に顔色を変えたのは、横浜に停泊中のクルーズ船での感染蔓延と多数の死者の発生であった。