2023/03/24
北東アジア情勢研究会コメンタリーNo.10「北朝鮮の軍事力強化と愛国主義」(井岡博・中曽根平和研究所協力研究員/元外務省専門分析員)を掲載しました。
今年も北朝鮮の弾道ミサイル発射は繰り返されるだろう。もとより北朝鮮からすれば、核戦力を中軸とする軍事力の強化は金正恩政権発足当初からの既定方針であり、安全保障上の外的脅威が存在する限り核戦力を自ら放棄する意思はない。北朝鮮は現在、「核には核で、正面対決には正面対決で!」というスローガンの下、「断固たる対敵意思」で「超強力対応」を取る姿勢を見せている。また、北朝鮮にとって核戦力は国威発揚のシンボルでもある。全社会が 2021 年 1 月の朝鮮労働党第 8 回大会の決定貫徹に邁進する中、国防科学・軍需工業部門は模範的な先駆者の役割を果たしている。「国防科学発展および兵器システム開発 5 カ年計画」(国防発展 5 カ年計画)は 3 年目の折り返し点を迎え、拍車がかかるだろう。今年 2 月の朝鮮人民軍創建 70 周年記念の軍事パレードでは「戦術核運用部隊」が登場した他、10 基を越える大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星 17」の隊列が量産能力の向上を感じさせ、さらにクライマックスの 9 軸 18 輪移動式発射台(TEL)搭載新型ICBM に至っては初の固体燃料型の可能性も指摘される。核戦力の実戦配備が進むと見られる。