2024/12/05
韓国・北朝鮮研究会コメンタリーNo.10「尹錫悦政権3年目の日韓関係」(小池修・防衛研究所理論研究部政治・法制研究室主任研究官)を掲載しました。
2022 年 5 月に発足した韓国の尹錫悦政権は、任期 5 年の半分が経過し折り返し地点を迎えた。尹大統領は就任以来、一貫して日韓関係の改善と進展に対する強い意志を示してきた。1 年目から 2年目にかけては、旧朝鮮半島出身労働者問題(いわゆる「徴用工問題」)の解決策を示し、日韓の首脳間「シャトル外交」が復活したことで首脳レベルの関係が回復するとともに、両国の輸出規制措置の解除など経済的な関係も復元した。3 年目には、信頼関係が失われていた防衛当局間の交流が再開し、慎重に発展が図られている。これらを基盤として、日米韓の協力の制度化も進んでいる。また、扱いが難しい歴史問題をはじめとする日韓間の懸案に関しては、公論化するよりも「ロー・キー」を維持しつつ当局間で緊密に調整する方向で進めているようである。本稿では尹政権 3 年目(おおむね 2023 年 12 月~2024 年 11 月半ばまでの事象を扱う)の日韓関係について、日韓の防衛協力関係の復元、日米韓防衛協力の制度化、日韓間の諸懸案への対応の 3点について詳しく見た後、その含意について簡単に論ずる。