2025/06/25
日米同盟研究会コメンタリーNo.70「「トランプ関税」後の国際経済秩序」(高橋和宏・法政大学教授)を掲載しました。
トランプ政権が打ち出した関税政策の余波が続いている。4月2日にトランプ大統領が「解放の日」を声高に叫びながら発表した各国別の相互関税は、関税率の極端な高さや算定方法のずさんさ、ペンギンやアザラシばかりの無人島までをも対象とする選定方法の非合理性、GAFAなどの大手IT企業の収益によってアメリカが大幅黒字を計上するサービス収支には触れずに貿易赤字のみを取り上げる恣意性など多くの問題を抱えており、世界はその乱暴さに震撼した。その後、トランプ政権は各国との「ディール」を目指して交渉を続けているが、最終的な着地点はいまだみえない。戦後アメリカが主導してきた自由貿易を原則とする国際経済秩序は、アメリカ自身の手によって大きな転機を迎えている。