English

イベント

2026/07/17
NPI特別セミナー「国際秩序の前提が変わるとき――相互依存・制度・協力の再定位」を開催

基調講演はIISSのウォード氏が務めた

開会の挨拶を行う麻生会長

モデレーターを務める川島上席研究員

パネルディスカッションの模様

中曽根理事長による閉会挨拶

 中曽根平和研究所は2026年7月1日、英国国際戦略問題研究所(IISS)との連携のもと、特別セミナー「国際秩序の前提が変わるとき――相互依存・制度・協力の再定位」をザ・キャピトルホテル東急で開催しました。


 米中競争の激化や経済安全保障の重要性の高まりを背景に、国際秩序を支えてきた相互依存、制度、協力のあり方が大きく変容しています。本セミナーでは、IISS日本部長兼地経学・戦略担当ディレクターのロバート・ウォード氏による基調講演に加え、日本の有識者とのパネルディスカッションを通じて、ミドルパワーの役割や日英協力、日欧協力の可能性について議論が行われました。


 開会の挨拶に登壇した麻生太郎会長は、国際秩序をめぐる不確実性が常態化する中、日本として安全保障、経済安全保障、技術の分野を一体的に捉える必要性を指摘するとともに、本セミナーを通じて、政府と企業の認識の共有及び連携実現への期待を表明しました。


■ 基調講演

 基調講演を行ったロバート・ウォード氏は、ロシア・ウクライナ戦争、中東情勢、米中競争などにより、経済は紛争領域に組み込まれつつあると指摘しました。


 特に、中国の産業政策や輸出管理の強化、新重商主義的な競争の広がりによって、経済安全保障は国家だけでなく企業経営にとっても重要な課題となっていると示しました。また、日本、英国、EU、ASEANなどのミドルパワーは、米中という超大国の間で主体性を保ちながら行動することが求められていると論じました。

 さらにウォード氏は、日本の国際的役割が近年大きく高まっていると評価し、日本企業についても地政学的リスクを経営戦略に組み込み、「企業としての外交政策」を構築する必要性があると強調しました。


■ パネルディスカッション

 基調講演に続き、川島真上席研究員をモデレーターに、伊藤さゆりニッセイ基礎研究所専務理事、細谷雄一上席研究員、ロバート・ウォード氏によるパネルディスカッションが行われました。


 細谷上席研究員は、地政学的競争と技術革新が進む中で、国際秩序を擁護するには、従来のルールを維持するだけでは十分ではなく、「ルールのアップデート」が必要であると指摘しました。その上で、日本単独ではなく、英国をはじめとする信頼できるパートナーとの協力を通じてルール形成を進めることの重要性を強調しました。

 伊藤氏は、欧州が中国だけでなく米国への過度な依存も見直す「ダブル・デリスキング」を進めている現状を紹介しました。また、日本にとっても欧州、中堅国、グローバルサウスとの連携を拡大し、戦略的選択肢を広げていくことが重要であると論じました。

 討論では、経済安全保障、サプライチェーン強靱化、先端技術協力、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)、ミドルパワー間連携などをめぐり活発な意見交換が行われました。


■ まとめ

 議論全体を通じて、現在の国際環境は一時的な異常事態ではなく、新たな常態として捉える必要があるとの認識が共有されました。

 また、不確実性が高まる時代においては、各国が自律性を維持しながら協力を進めることが重要であり、すべての課題について一律の枠組みを追求するのではなく、分野ごとに協力相手を組み合わせる柔軟な連携が現実的なアプローチであるとの見方が示されました。

 日英を含む日欧は、経済安全保障、先端技術、ルール形成などの分野で高い相互補完性を有しており、これらミドルパワー連携が今後の国際秩序形成において重要な役割を果たすことへの期待が示されました。


 閉会にあたり、中曽根弘文理事長は、ウォード氏の基調講演やパネルディスカッションを通じて、国際秩序の変容、中国の影響力の拡大、日本の役割などについて重要な示唆が得られたと述べました。さらに、当研究所として今後も海外シンクタンクとの協力を深めながら、外交・安全保障・経済安全保障分野で研究・提言活動を進めていく考えを示しました。


登壇者

◆基調講演

  •  ロバート・ウォード 英国国際戦略問題研究所(IISS)日本部長兼地経学・戦略担当ディレクター

◆パネルディスカッション モデレーター

  •  川島 真 中曽根平和研究所 上席研究員

◆パネリスト

< 前のページに戻る

イベントの最新記事

記事一覧へ >
公益財団法人 中曽根康弘世界平和研究所(NPI)
Copyright ©Nakasone Peace Institute, All Rights Reserved.