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2001/11/26
駐日アメリカ合衆国特命全権大使ハワード・H・ベーカー閣下 「9月11日後の日米関係」

於:ホテルオークラ

ベーカー大使は、講演の冒頭、9月11日のテロ攻撃は、非常に大きな惨劇であり、トラウマを残す事件ではあったが、日米関係の緊密さを再認識させる契機となった点を強調した上で、今回のテロとの戦いの意義及び今後の日米関係について次のように語った。
テロとの戦いにおいては、長期的なビジョンと辛抱強い対応が必要である。テロに対する戦いは終わっておらず、軍事作戦面のみならず、資金面、外交面で非常に長い戦いとなるであろう。しかし、世界の国々が一丸となって戦えば、必ずや勝利を導くことができる。また、アフガンの復興は、世界が支えていかなければならない問題であり、再建に関しては日本の支援も大きく期待される。

今回、テロとの戦いにおいて生まれた世界各国の大連合には、多様な宗教が含まれており、その幅と多様性に大きな特長がある。9月11日の攻撃は、単に米国に向けられたものではなく、人類及び市民社会に対する攻撃と見なされるべきである。現在行われている戦いは、決して文明間の衝突ではない。健全な多数のイスラム教国家もテロを糾弾している。しかし、偏狭的なイスラム教を信奉するタリバンが支配するアフガンでは、政治が正しく行われておらず、それが貧困の原因ともなってきた。今回の作戦は、長年にわたって苦しめられてきたアフガン国民に最大の恩恵をもたらすと言える。
9月11日のほぼ1年前、テロリストを庇護するタリバンを糾弾する国連安保理決議1333が出された。現在、米国は同盟国・友好国とともに、この決議の精神に則って、世界の平和と安全のために行動している。日本も、固い支援と援助を約束することによって、その一役を担ったことになる。日米両国は、今回の対テロ作戦行動を通じて形成されたパートナー・シップによって、これから現れる挑戦に対しても立ち向かうことができることを再確認した。前例のない支援を決定した今回の日本の対応は、テロに対して戦っていく勇気と強いリーダー・シップを見事に具現したものと言える。

今後の日米関係については、長期的な安全保障の観点から、21世紀の挑戦に対応していくため、戦略対話の一層の強化と経済面におけるパートナー・シップの強化が必要である。更に、日米同盟関係は、共通の理念を基礎としており、協力関係は、政治経済の分野にとどまらない。日米両国が世界の中で互いに影響し合うことが大事であり、その前提となる「相互の信頼と尊重」が重要である。尤も、これはテロリストが理解することができない価値観でもある。
最後に、ベーカー大使は、質疑応答を通じた指摘の中で、特に、「テロ行為を行えば、必ず代償を払わなければならない」ことを知らしめることが重要であり、それが次なるテロの抑止となるとの考えを強調された。また、アフガンにおける作戦の次なる段階については、アフガン人自身による国の再建とテロ根絶に向けた戦いの継続として、資金凍結、資金ルートの追跡、資金源の根絶を行う必要があると指摘した。 (柿原)

※この講演会は日本財団の助成事業により行っております。

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