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2001/12/11
「南・東南アジア地域における海洋安全保障」国際会議・シンポジウム

各セッションの議事内容及び参加者の報告ペーパー・プレゼンテーションは下記のリンクよりご覧いただけます。(PDFファイル、報告ペーパーは英語のみ)

会議日程
1.日時:平成13年12月11日(火)・12日(水)・13日(木)
2.場所:東京全日空ホテル
   会議...「オーロラ」
   シンポジウム...「グローリー」
3.スケジュール

(1) 第1セッション(11日(火) 10:00~12:30)
議 題:「東南・南西アジア地域の海洋安全保障の現状と問題点」
報告者:秋元一峰(秋元海洋研究所所長、元海将補)[PDF]
    Frances Lai(タイ、SEAPOL副所長)[PDF]
    M.K. Roy(インド、海洋ジャーナル編集長、退役海軍中将)[PDF]

(2) 第2セッション(11日(火) 14:30~17:00)
議 題:「海洋安全保障におけるレジーム形成の再評価」
報告者:Hasjim Djalal(インドネシア、パジャジャラン大学海洋法教授)[PDF]
    Mark J. Valencia(米、イースト・ウェスト・センター主任研究員)[PDF]
    
布施勉(横浜市立大学教授)[PDF]

(3) 第3セッション(12日(水) 10:00~12:30)
議 題:「海洋安全保障における米国の役割の変化-展望と影響」
報告者:Kurt Campbell(米、CSIS上級副所長、元国防次官補代理)[PDF]
    Woosang Kim(韓国、延世大学教授)[PDF]
    Ed Ma Santos(フィリピン、アジア太平洋商船大学校長、退役海軍中将)[PDF]

(4)第4セッション(12日(水) 14:30~17:00)
議 題:「海洋安全保障における国際協力のあり方と日本の課題」
報告者:J.N. Mak(マレーシア、海洋問題研究所研究部長)[PDF]
    秋山昌廣(シップ・アンド・オーシャン財団会長、元防衛事務次官)[PDF]
    Sam Bateman(豪、ウーロンゴ大学海洋政策部副部長)[PDF]

(5)公開シンポジウム(13日(木) 14:00~16:00)
議 題:「東南・南西アジア地域における海洋安全保障」
パネリスト:Kurt Campbell(米、CSIS上級副所長、元国防次官補代理)
      M.K. Roy(インド、海洋ジャーナル編集長、退役海軍中将)
      Hasjim Djalal(インドネシア、パジャジャン大学海洋法教授)
      Sam Bateman(豪、ウーロンゴ大学海洋政策部副部長)
      志方俊之(世界平和研究所研究顧問、帝京大学教授)


 当研究所は、12月11日~13日の3日間、東京全日空ホテルにおいて、「東南・南西アジア地域における海洋安全保障」と題する国際会議及びシンポジウムを開催した。
 東南・南西アジアを巡るシーレーンは地球海洋の大動脈であり、エネルギー資源をペルシア湾岸諸国に依存している我が国をはじめとする域内の国々にとって、シーレーンの安全確保は、死活的に重要な意義を持つ。しかし、「海洋安全保障」を巡っては、伝統的な安全保障上の問題から、経済のグローバリゼーションによって生じる新たな問題(脆弱性)や人類共通の脅威として認識されつつある海洋汚染の問題まで、様々な問題が存在する。

 本会議では、脅威の質の変化に着目し、地域海洋の安全保障を巡る現状の諸問題を明確化するとともに、これまでに築き上げられた国際的フレームワークの果たしてきた役割とその限界(問題点)及び軍事力の伝統的な安全保障としての役割と新たな役割等について、活発な議論を展開し、各国及び国際社会が今後取り組むべき課題を浮き彫りにした。

 まず初日の、第1セッション(司会:小堀深三世界平和研究所首席研究員)では、「東南・南西アジア地域の海洋安全保障の現状と問題点」をテーマに次の3人が報告を行った。最初に秋元海洋研究所所長の秋元一峰元海将補が、シーレーンの構造的な脆弱性と脅威について説明し、現在のSLOC(Sea Lane of Communication)COWOC(Consolidated Ocean Web of Communication)と呼ぶべき状況に変容しており、特に、代替手段のないフォーカル・ポイント(ハブ港)の脆弱性を指摘した。次にタイのフランシス・ライSEAPOL副所長は、冷戦後の新しいフレームワークの特徴として、冷戦構造から多国間の枠組みへの流れ、軍事面から経済面への流れ、狭義の安全保障から広義の安全保障への流れがあるとの見方を示し、安全保障環境の変化、脅威対象の拡がり、海軍力の新たな役割について説明した。最後にインドのM.K.ロイ海洋ジャーナル編集長(元海軍中将)は、インド洋を巡る南西アジア地域の安全保障問題の特徴について報告するとともに、今後、地政的観点から印・米・日が結びつくのは自然であり、三カ国間の協力の必要性を訴えた。討論においては、主権・領域の問題に関して沿岸国の立場を考慮すべきであるとの意見や、印・米・日三国の関係強化は、その外にある国との新たな敵対関係を生む畏れがあるとの指摘がなされた。


次に、第2セッション(司会:今井隆吉世界平和研究所首席研究員)では、「海洋安全保障におけるレジーム形成の再評価」をテーマに3人の研究者が報告を行った。最初に報告したインドネシアのハジム・ジャラール パジャジャン大学教授は、法的枠組みに関しては、各国の解釈の違いが紛争を生じさせる面があることを考慮すべきであるという点を指摘すると共に、東南アジア沿岸国では、法執行能力が欠如している問題点を指摘した。

 次に、米国イースト・ウエスト・センターのマーク・バレンシア教授は、海洋安全保障レジームに対する米国の姿勢について、特にブレア・イニシアティブを紹介しつつ、米国が協調的安全保障に積極的に取り組んでいる現状を説明した。最後に、横浜市立大学の布施勉教授は、国連海洋法が義務の法体系である点を指摘し、国家間関係を超える問題への取り組みの必要性を強調した。討論においては、海洋を人類共通の財産であると捉える考え方と既存の領海、EEZといった管轄権の考え方とをどう整合させていくか等について議論が交わされた。

 2日目の第3セッション(司会:薬師寺泰蔵世界平和研究所研究主幹)では、「海洋安全保障における米国の役割の変化-展望と影響」をテーマに3人の研究者が報告を行った。まず、米国のカート・キャンベルCSIS上級副所長が、「ワシントンからのメッセージ」として、9.11テロは、「パラダイム・シフト」と呼ぶべき大きな変化を引き起こした点を強調し、アジアへの関心も質・量ともに見直す必要があり、今後、米国はテロとの戦いに焦点を集中するとの見通しを示した。次に、韓国のウーサン・キム延世大学教授は、東アジアの戦略環境の変化要因として、中国ファクター(米国に追いつくか否か、協調的か否か)、米国ファクター(国際協調主義か孤立主義か)を挙げ、ケース・スタディによる分析を踏まえて、今後も米国の東アジアにおけるアクティブ・エンゲージメントは続くとの結論を導いた。

 フィリピンのE・サントス商船大学校長(元海軍中将)は、冷戦後の東南アジアにおける米国のプレゼンスについて、冷戦後フィリピンから一時撤退したことが、中国の台頭を招いたとの反省から、最近は米軍のプレゼンス復活の動きが見られ、今後もその重要性は変わらないとの見方を説明した。討論においては、アフガン後の米国の対応や米国の対北朝鮮政策の変化等について論じられ、長期的に北朝鮮崩壊の可能性も考慮すべきとの指摘がなされた。


最後の第4セッション(司会:志方俊之世界平和研究所顧問)では、「海洋安全保障における国際協力のあり方と日本の課題」をテーマに次の3人が報告を行った。まず、マレーシアのJ.N.マク海洋問題研究所研究部長は、非伝統的な脅威として海賊への対応の必要性を指摘し、問題の根本解決のためには、貧困対策が不可欠である点を強調した。

 次に、秋山昌廣シップ・アンド・オーシャン会長(元防衛事務次官)は、SLOCに対する中国の対応変化について指摘すると共に、日本の役割として「オーシャン・ガヴァナンス」構築へのイニシアティブを提言した。最後にオーストラリアのサム・ベイトマン ウーロンゴ大学政策副部長は、多国間安保協議枠組みについて、特にトラック2の有効活用を強調した。討論においては、沿岸国がローマ条約に未加盟である問題や「オーシャン・ガヴァナンス」の定義・役割の問題等について主に論じられ、国家を超えた取り組みとして具体的に何が出来るのか等、更に詰めていく必要があるとの指摘がなされた。

 以上の議論を受けて、公開シンポジウムでは、大河原良雄世界平和研究所理事長の司会により、米国のキャンベルCSIS上級副所長、インドのロイ元海軍中将、インドネシアのジャラール教授、オーストラリアのベイトマン教授、志方俊之研究顧問がパネリストとして、各セッションの要約も踏まえつつ報告を行った。

 討論では、他の会議参加者からのコメントも受けつつ、主に「オーシャン・ガヴァナンス」の問題及び海軍と沿岸警備隊との相違について意見が交わされた。「オーシャン・ガヴァナンス」については、海洋を巡る新たな問題に対して、国家を超えて海を総合的に管理していく枠組みが必要であるとの認識を共有しつつも、その表現については、「統治」のニュアンスもあり、異論があるとの指摘がなされた。海軍と沿岸警備隊については、それぞれの国の事情により、担う役割等も異なることが浮き彫りになったが、今後は、相互の協力と役割分担の必要性について指摘がなされた。この他、フロアーから、民間部門の警備能力の強化やマラッカ海峡利用国による費用負担を含むフレームワークの必要性等についての意見が寄せられた。討議を通じて、海洋安全保障という言葉に代表されるものの中に非常に多くの側面がカバーされていることが浮き彫りになったとともに、問題への取り組みにおいては、単に表面的な事象のみでなく、構造上の問題への取り組みが必要である点が強調された。


「公開シンポジウムの記録」[PDF]

※この講演会は日本財団の助成事業により行っております。

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