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2002/06/14
駐日エジプト大使マハムード・カレム閣下 「エジプトから見た中東情勢」

於:全日空ホテル

 世界平和研究所は、日本財団の助成を受け、6月14日、全日空ホテルにてマハムード・カレム駐日エジプト特命全権大使の「エジプトから見た中東情勢」に関する講演を開催した。

 講演の冒頭、カレム大使は、エジプトは、ラムセス国王とヒッタイト族との間で史上最古の平和条約を結んだように、この地域の和平について古くから関わりを持ってきたと指摘し、パレスチナ和平問題についても、1977年のサダト大統領によるイスラエル訪問、翌78年のキャンプ・デービッド合意以来、密接な関わりを持ってきたと述べ、さらに以下のように論じた。

 中東和平は、紆余曲折を経てきたが、1993年のオスロ合意、95年のオスロ2合意、98年のワイリバー合意と進展を続け、しっかりとした和平の枠組みを持っており、中東和平になんら追加的枠組みを持ち込む必要はなく、基本的にこの枠組みを堅持すればよいと考えられる。

 また、直近ではムバラク大統領が米国を訪問して、パレスチナ和平についての提案を行ない、サウジアラビアのアブドラ皇太子も独自の和平提案を行っているが、イスラエルはこの提案に対し、ラマラへの攻撃をもって応え、占領地への入植も中止しようとしない。こうした暴力行為が悪循環となって和平の妨げとなっていることは明らかであり、そもそも、現在の和平の停滞も、発端はイスラエルのシャロン首相(当時はリクード党党首)によるアル・アクサモスクへの立入強行にある。

 むろん、これらさまざまな問題も含め中東和平にとって米国の役割、ブッシュ政権の役割がきわめて重要であることは言うまでもない。また、議長府攻撃に伴いアラファト議長の亡命問題がとりざたされたが、和平問題の当事者であるアラファト議長の存在を無視して和平は成り立たない。現在、論じなければならないのは、アラファト議長の亡命ではなく、パレスチナで行われている暴力行為やテロ行為の停止であり、パレスチナに希望が与えられることである。そして、和平交渉を再開し、パレスチナに平和を回復し、秩序を回復し、和平プロセスを回復させ、パレスチナ独立国家を樹立しなければならない。このためには、イスラエルによる武力行使や占領地への入植を直ちに止めることが必要である。

 また、日本のこの問題への取組みについては、日本の経済的成功や友好的な姿勢はアラブ世界から高く評価されており、とりわけ経済的支援への期待は大きい。また、アフガン和平における日本の活躍は世界から称賛されており、パレスチナ和平問題でも、同様の期待が高まっている。特使の派遣やさまざまな交流などが期待されており、パレスチナ住民の生活再建に向けたインフラ整備、青少年交流などを促進することが重要であろう。エジプトは、こうした分野で日本のアドバイザーとして協力できると確信している。

 最後に、カレム大使は、質疑応答に応じた後、暴力行為やテロ行為の停止を直ちに行い、パレスチナにおける平和ならびに秩序回復、和平プロセスへの復帰が必要であり、とりわけ和平交渉を早急に再開させ、パレスチナに希望を与えることが特に重要となっていることを改めて指摘し、講演を締めくくった。 (大濱)

※この講演会は日本財団の助成事業により行っております。

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