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2018/12/17
「中曽根平和研究所 設立30周年記念式典」詳細

安倍晋三内閣総理大臣による来賓挨拶

河野外務大臣による来賓挨拶

「中曽根平和研究所 設立30周年記念式典」を開催 

 中曽根平和研究所では1211日(火)、設立30周年記念式典を都内ホテルにて開催し、豊田章一郎経団連名誉会長はじめ政財官界の指導者達の多くの参加があった。

 また、当研究所内において、日本の直面する課題への対応について1年近くにわたり討議を重ねてとりまとめた「設立30周年記念政策論集」を公表し、式典会場で冊子を配布した。

 当研究所会長の中曽根康弘元総理は、同副会長の中曽根弘文元外務大臣が代読したメッセージで、「政治・経済・外交等の政策立案や提言を行う民間の有力なシンクタンクの重要性に鑑み当研究所を設立した経緯について述べ、今後とも、より平和で繁栄した日本と平和な世界の実現に貢献するために、研究所としてさらに努力を続けていく」との抱負を示した。

 来賓挨拶では、安倍晋三内閣総理大臣が設立30周年への祝辞の中で、「自民党が憲法改正に向けて具体的な4項目のイメージを既に示しており、中曽根会長の悲願でもあった憲法の論議が本格的に始まりかけているところまできたので、さらに支援してほしい。」と述べた。

 三村明夫日本商工会議所会頭は、「米中貿易摩擦が両国の覇権を巡る根の深い争いへ発展することが懸念される国際情勢の中、日本は自立意識を持ち、国際社会において主導的役割を果たしていくことが求められる。」と指摘した。

 ウィリアム・ハガティ駐日米国大使はビデオメッセージを寄せ、レーガン大統領と中曽根会長の間の「ロン・ヤス関係」と呼ばれる信頼関係が日米間の強固な絆の基礎になったことに触れ、当研究所の活動がより強固な日米関係の構築に寄与することに対する期待を示した。

 当研究所の北岡伸一総括研究顧問は、中国の軍事力増強や北朝鮮ミサイル・核開発に加え、自由民主主義的な世界秩序の支柱の役割を担ってきた米国が自国第一主義へ転換するなど、世界の外交・安全保障を取り巻く環境が大きな課題に直面する中、イノベーティブな提案が可能なシンクタンクの役割に期待を示した。

 今年7月に就任した藤崎一郎理事長は、当研究所の役割として、「時代の先を読んだ提言」および「一般に得られる以上の分析を提供する」ことをあげた。研究所の仕事ぶりについては、「開く」、「広く」、「早く」の「三つのH」を掲げ、①外部の研究機関、メディア等に対して「開いた」形で勉強を行い、②研究成果を「広く」提供し、③その成果を電子媒体の活用により「早く」提供していくことの重要性を強調した。

 記念討論では、米中それぞれの専門家である久保文明東京大学教授、川島真東京大学教授が登壇し、藤崎理事長のモデレーションにより今後の米中関係を展望した。

 米中貿易摩擦に関し、久保教授は「表向きは通商問題だが、安全保障や覇権を巡る対立の側面が混入し、米国の中国に対する厳しい姿勢は、一時的でなく長期間続く。」との見方を示した。不公正な貿易慣行の是正に関する米国の中国に対する要求について 川島教授は、「ペンス副大統領の演説での経済、通商、覇権など包括的な課題については、中国政府はその含意がわからず対応に困っている状況だが、(90日期限の)数値目標は、対応できると政府は考えている。」と語った。

 米国と中国に関する中長期的展望について、久保教授は「米国には、スイング(振り子)によって米国一国主義の路線が一直線に強くなっていくことはないが、トランプ氏が非正統的な孤立主義、保護主義を掲げて共和党の候補から大統領に当選したことで、同様の選挙戦略が続いていくことが懸念材料。」とした。中国が今後直面する課題として川島教授は、「一人っ子政策の元で生まれた子供が50歳を超える2030年代には生産年齢人口が大きく減少し経済成長の維持が困難になる。中国政府はこの問題を克服するには5Gなど様々な技術が不可欠で、政府が技術革新を主導していくことが必要」と述べた。

 日本との関係について、久保教授は、「日本が中国の一帯一路に対し条件付きで支持する姿勢を日本は米国側にきちんと説明し、日米間の信頼関係を地道に維持していくことが重要。」との見方を示した。川島教授は、「日本の中国寄りの姿勢を米国に指摘された場合、一帯一路プロジェクトで日本が付けた経済性や透明性などの条件が守られているかを不断に確認し、米国に説明できることが必要。」と述べた。

 

 記念式典に続いて開催されたレセプションでの来賓挨拶では、中曽根副会長の乾杯に続き、河野太郎外務大臣は、当研究所に対する祝辞とともに、「世界は既存の国際秩序を揺るがす様々な課題に直面しており日本は各国との連携を図り従来以上の大きな責任と役割を果たすことが求められる。こうした状況下、中曽根平和研究所の役割がますます重要性を増す。」と期待を示した。

 また、片山さつき地方創生担当大臣、橋本五郎読売新聞特別編集委員が、それぞれ当研究所との関わりに関するエピソードを披露し、設立30周年に祝意を表した。

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