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2020/12/24
第 11 回東京−ソウル・フォーラム「ポストコロナ時代の日韓関係」 オンライン開催

 

 中曽根平和研究所(以下、NPI)と韓国のシンクタンクであるソウル国際フォーラム(以下、SFIA)は、2020年12月12日「第11回 東京−ソウル・フォーラム」をオンラインで開催した。本フォーラムは、日韓の相互理解促進・日韓関係の友好的発展を目的とし、外交・安保・経済・社会など幅広い分野に関して、日韓の政・財・学の各界を代表する識者が戦略的意見交換を行う場として、2010年より毎年開催されている国際会議である。これまで舞台を東京とソウル交互に移しながら開かれてきたものであり、コロナ禍の本年は「継続は力」という認識を共有し、訪問することはかなわずとも、オンラインで開催することとした。

 

 冒頭、本フォーラムの創設者であり昨年11月に逝去した中曽根康弘NPI会長(元首相)の冥福を祈り、黙祷を捧げた。開会挨拶では中曽根弘文NPI会長代行より、SFIAから頂いた弔意に感謝した上で、2018年本フォーラムが提起した所謂「中曽根・李洪九(イ・ホング)宣言」[i]に立ち返り、両国関係の再構築を議論したいと述べた。柳津(リュ・ジン)SFIA副会長(豊山グループ会長兼CEO)からはコロナ禍は互いの重要性を感じるきっかけになったと指摘し、足下の困難な状況に対して創造的な解決策を模索したいと応えた。

 

 今回のプログラムは、「ポストコロナ時代の日韓関係」をテーマ・タイトルに、三つのセッションとリーダーズ・スピーチから成っている。

 

 セッション1では米中間の戦略的競争への対応をテーマに、藤崎一郎NPI理事長を議長に久保文明NPI研究本部長(東京大学教授)、川島真NPI上席研究員(東京大学教授)、鄭在浩(チョン・ジェホ)ソウル大学教授が報告、その後米国次期政権下での米中関係が日韓両国に与える影響について意見交換を行った。

 現時点で米国のバイデン次期政権の対外政策はまだわからないが、少なくともトランプ政権に比べて同盟関係が重視され専門家の助言も尊重されるため、予測可能性が高まることは間違いないことが認識された。そのうえで米中関係は、全面的なデカップリングには至らないとする一方で、経済リスク、技術覇権を背景に多くの分野で「まだら模様」に利害対立する構造が長期化するとの見方を共有した。とくにアジア地域の安全保障について、11月の菅義偉総理との電話会談で尖閣諸島が日米安保条約第5条の適用対象である旨明言したことと、南シナ海での緊張も限定的な問題と見た上で、今後台湾がクローズアップされると予測された。

 

 リーダーズ・スピーチは崔炳鎰(チェ・ビョンイル)韓国高等教育財団事務総長が議長を務めた。

 三村明夫NPI副会長(日本商工会議所会頭)は、米中の戦略的競争関係が長期化すると想定される中、日韓両国は、安全保障だけでなく、少子高齢化など未来志向で協力できるテーマは多数あると述べた。鄭求鉉(チョン・グヒョン)SFIA前会長は、米欧亜の三極の中でも米欧は製造業についてアジアへの依存を高めており、バイデン次期政権になっても米中関係は全面的なデカップリングでなく協調と競争(Cooperation and Competition)が続くと予測した。そしてこの環境の中で、日韓は意見交換を密にしながら協調すべきと述べた。

 

 セッション2では北朝鮮情勢について、金泰孝(キム・テヒョ)成均館大学教授を議長に、金聖翰(キム・ソンハン)高麗大学教授と西野純也NPI上席研究員(慶應義塾大学教授)が報告、その後意見交換した。バイデン次期政権の対北朝鮮政策は、かりにトランプ政権とアプローチの仕方が異なるとしても非核化ロードマップをつくり合意することが最優先課題であること、これは米中協力のアジェンダのひとつとはいうものの、中国の優先度は未知数である一方、核の直接的な脅威を受ける日韓はそのロードマップ作りに連携して取り組むべきである旨認識を共有した。

 これを踏まえて日韓は、バイデン次期政権に対して、対北朝鮮政策としてなすべきこととその実現には日米間連携が必要であることを理解してもらうこと、局長級あるいは次官級の協議の枠組みをつくることをめざすべきこと、ただし脅威の削減のすすめかた、防衛協力強化のありかた、拉致問題を含めた北朝鮮の人権問題での協力 の三点が政策調整で留意すべき領域として挙げられた。

 

 セッション3では日韓関係の再構築をテーマに、ポストコロナ時代に相応しい日韓関係について細谷雄一上席研究員(慶應義塾大学教授)を議長に、重家俊範(元駐韓日本大使)、朴喆煕(パク・チョルヒ)ソウル大学教授が報告した。

 日韓は、危機感を持って相互の信頼を回復させる必要があること、両国が協力することの共通利益は大きく、逆に協力しなければ失うものが多いこと、その中で政治指導者の役割は重要であるとの認識で一致した。この他、若い世代の関与、科学技術問題や医療の仕組みなど両国で共通スタンダードを協議して発信するなど多くの提案がなされた。

 ただ、旧朝鮮半島出身労働者の訴訟を巡る問題など直面する重要課題への取り組みについて、解決すべきという意思は共有するものの、日本側は日韓請求権協定が日韓関係の基礎であること、その遵守は国内問題でなく韓国政府が責任を持ってはたすべきと主張したのに対し、韓国側は国内事情を説明するとともに、韓国政府がその責任をはたすだけで日韓の信頼関係が修復できるのかという懸念を示した。

 

 全体の討議を受け、藤崎一郎NPI理事長が全体をまとめた上で、厳しい日韓関係の中で率直な意見交換、継続的な交流を途切れさせないことの重要性を強調した。金明子(キム・ミョンジャ)SFIA会長(元環境部長官)は、世界的なショックの後に新しい秩序が生まれてきたという歴史を踏まえ、「問題には必ずsolutionsがある」という信念をもって専門家が解決策を提案し、指導者がリーダーシップを取って対処していくことが重要とした。

 閉会挨拶では渡邉秀央NPI顧問(日本ミャンマー協会会長・理事長、元郵政大臣)、李洪九(イ・ホング)SFIA理事長が困難な状況を前に進めるべく対話を継続することの重要性を述べ、来年の再会を期した。



[i]当研究所リリース「中曽根康弘世界平和研究所とソウル国際フォーラム、日韓関係に関する共同宣言「中曽根・李洪九(イ・ホング)宣言」を発表」(2018年6月15日、https://www.npi.or.jp/news/nikkanJDpressrelease.pdf)をご参照ください。

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