2023/03/06
2月28日に、NPI特別セミナー「経済安全保障と国際経済秩序」を開催しました。
当研究所では、「経済安全保障プロジェクト」を立ち上げ、様々な活動を推進しているところですが、この度、米国の主要シンクタンクである戦略国際問題研究所(CSIS)のマシュー・グッドマン上級副所長(経済担当)、経済産業省の松尾剛彦 通商政策局長を講師にお迎えして「経済安全保障と国際経済秩序」をテーマとする特別セミナーを開催しました。CSISと当研究所は、昨年11月に経済安全保障分野での連携強化のための覚書(MoU)を締結したところであり、本件はその締結後初めてとなる具体的な協力事業となります。
オープニング・スピーチにおいて、麻生会長に代わって登壇した中曽根副会長は、経済安全保障について、いわゆる「経済的威圧」をいかに抑止し、国際経済秩序を安定させるか、あるいは、機微な技術情報を守るといった観点から対外投資をいかに管理するか、といったテーマに関わる今後の議論が重要になるとの認識を示しました。
続いて、CSISのマシュー・グッドマン上級副所長は、経済安全保障を理解する上で、重要となる「国内基盤の強化」「計画的な防衛措置」「ルールに基づく国際秩序の堅持」の「3つの柱」を紹介し、米国と日本の経済安全保障政策アプローチの現状を比較・分析した上で、今後の日米協力の可能性について指摘しました。
また、経済産業省の松尾剛彦 通商政策局長は「経済安全保障とルールベースの国際貿易秩序の両立に向けて」と題する講演で、経済安全保障の重要性とその背景、我が国の政策的取り組みなどについて概説し、ルールに基づく国際秩序に向けた協調の在り方について、通商政策の現場の視点での個人的見解を述べました。
これらの講演に続いてパネル・ディスカッションでは、当研究所の白石主任研究員(経済安全保障プロジェクト統括役)がモデレータを務め、講師2名との対談形式で、「同志国の定義や範囲」「米中対立や中国を取り巻く国際情勢の先行き」「WTO改革の在り方」「半導体を始めとするサプライチェーン強靭化の取組」「5月のサミットに向け、経済的威圧への対処の論議の必要性」などの広範なテーマについて議論しました。
◆講師
戦略国際問題研究所(CSIS) マシュー・グッドマン上級副所長(経済担当)
経済産業省 松尾剛彦 通商政策局長
◆パネル・ディスカッション・モデレータ
白石 重明 当研究所主任研究員(経済安全保障プロジェクト統括役)