2023/07/14
7月9日に中曽根平和研究所と中国国観智庫によるワークショップを実施しました。
中曽根平和研究所共同研究事業の第2ユニット[中国・台湾]は、中国の国観智庫とのワークショップを開催し、国際関係と国内問題という2つのテーマで日中双方の識者による発表および意見交換を実施しました。冒頭、本研究所の川島真研究本部長と国観智庫の任力波代表から挨拶がなされました。それぞれ、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻によって生じた往来の減少や国際秩序の動揺の中で、日中両国間の学術交流、シンクタンク交流が途絶えがちで、それぞれ誤解が生じやすい状況であったことに鑑み、交流を再開、促進していくことの意義を確認しました。
第1セッションでは、日米中関係を中心とする国際関係について報告および意見交換を実施しました。日本側からは「台湾の選挙の現状とその過程および結果がもたらす日中への影響」「日中関係と台湾問題」、中国側からは「米国の行動が及ぼす東アジア地域への影響」「日米中関係から見る経済安全保障」がそれぞれ報告されました。その後の意見交換では、台湾有事が仮に発生した場合の日本のシーレーンに対する影響や、ロシアのウクライナ侵攻後のアメリカおよび同盟国の安全保障協力の強化、日本の半導体製造装置の輸出管理厳格化に対する中国の対抗措置の是非等について議論が進められました。
第2セッションでは、日中の国内問題について、日本側からは「経済安全保障100社アンケートから見る日本企業の中国の見方」「日本の国内政治と日中関係への影響」、中国側からは、「中国の国内政治」「海上航空の安全保障問題から見る日中関係」がそれぞれ報告されました。その後の意見交換では、日中平和友好条約締結45周年における日本の反応や、7月1日に施行された中国の反スパイ法および対外関係法による中国国内の識者等の行動・思想への影響、また同法律に関する日本の関心の高さや日中の知識層への圧力等について討議されました。
総合討論では、目下、双方の国内の声は双方とも掴みづらいものであり、このワークショップが大変貴重な機会となったとの総括がありました。また、日中間で過去起きた重要なインシデントをいかに処理してきたか省みる必要があること、日中関係の改善に対する阻害要素は残っているが、積極的に改善していくことが必要であり交流を強化したいということ、対話がなければより大きな衝突が生まれかねず、東アジアという地域においての対話は大変重要であるといった意見が参加者から出され、本会は終了しました。(文:白田直子)