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2024/03/04
2月22日、公開シンポジウム「ウクライナ侵攻から2年のロシア・旧ソ連地域」を開催しました。

 中曽根平和研究所では2月22日(木)、ロシアによるウクライナ侵攻からちょうど2年を迎える2日前というタイミングで、シンポジウム「ウクライナ侵攻から2年のロシア・旧ソ連地域」を対面で開催しました。中曽根平和研究所による研究プロジェクト「東アジア国際問題の内在的考察:地域研究から見る朝鮮半島・台湾海峡問題」の中で活動しているロシア研究会のメンバー6名(リーダー:廣瀬陽子中曽根平和研究所上席研究員・慶應義塾大学教授)が登壇し、様々な視点からプレゼンテーションと質疑応答を行いました。

 議論された主な点は以下のとおりです:


・帝国主義的傾向を強めるロシアの脅威に対抗し自立性を高めるため、特に文化や認識の面で脱植民地化を進める必要性が、いくつかの旧ソ連諸国で唱えられている。ウクライナにとっての脱植民地化はロシアに強いられた「兄弟」関係からの脱却を意味し、欧州化とも結びつく。中央アジア諸国はウクライナ戦争についてロシアと一線を画すが、政治体制がロシアと多少近いことや欧米中心主義への反発もあり、脱ロシア化は必ずしも容易でない。ロシアは国内で少数民族の権利を狭めながら、対外宣伝で反西洋植民地主義を悪用する。複雑な問題はあるが、旧ソ連地域の脱植民地化を真剣に考えるべき時期が来ている。


・ウクライナ侵攻以降、ロシアにおいては占領地域の「併合」に先立って復興が進められた。この復興にロシアの各地域(=連邦構成主体)が関与している。占領地域の復興支援にロシア地域が関与することで、ロシアでは中央・地方関係の垂直的な統治構造が強化されている側面が見える。ロシアの各地域ではこれら支援に対する住民の反発はほとんど見られない。また2023年9月に実施された統一地方選挙の結果を見る限り、占領地域におけるプーチン政権への支持は高く、このことは2024年3月の大統領選挙にとり重要。


・ジョージアは早くから脱ロシア化が起きて2008年にロシアとの戦争に至ったが、2012年の政権交代後対外政策の変化がみられ、ロシア批判のレトリックが減り、ロシアによるウクライナ全面侵攻が始まった後のウクライナ支援の発言は積極的ではない。他方で実際のアクションでは、EUとNATOとの関係の緊密化を図っており、外交場裡でウクライナを支援している。これらの政策は大国のはざまで生き残ろうとするもので、主権国家として存続し、ロシアとの戦争を回避し経済成長を促進し、経済的・外交的ハブとしての機能を高めた。しかし同時にEUやNATOとの関係への打撃、ウクライナとの関係悪化などのデメリットもある。


・戦況としては、ウクライナの弾薬・人員が継続的に不足しており、ロシア軍が東部地域で攻勢を強めている。ウクライナ軍は、戦力の再編成に取り組むとともに、黒海・クリミア方面のロシア軍の高価値目標をターゲットとしている。プーチン体制を見ると、侵攻から2年を経て強靭性を有しているとの認識が広がっている。緊急経済財政対策のチーム、装備品増産のチーム、日常業務のチームがそれぞれ機能しているが、大統領選挙後の5月にも予想される組閣での人事が注目される。対外政策分野では、基本文書となる「対外政策概念」が昨年3月に改訂された。対ロ制裁に対抗するべく新興国・発展途上国(いわゆる「グローバル・サウス」の国々)との関係を強化している。


・プーチン政権の24年間に、反体制派の不審死は繰り返されている。先週もナワリヌイ氏の獄死、亡命パイロットの射殺遺体発見があった。対象となった反体制派の追及していたテーマは時代ごとに変化しており、それらはその時代の政権の急所であったと言える。命令し実行する主体やその手法は様々であるが、最近の事例は一層容赦ない傾向を示している。不審死に至らない警告レベルによる活動封じもみられる。


・ロシア研究会メンバー

廣瀬陽子  慶應義塾大学教授・中曽根平和研究所上席研究員 

宇山智彦  北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授

長谷川雄之 防衛省防衛研究所研究員

中馬瑞貴  (一社)ロシアNIS貿易会ロシアNIS経済研究所研究員

真野森作  毎日新聞社外信部副部長

ダヴィド・ゴギナシュヴィリ  ジョージア大使館分析官、慶應義塾大学SFC研究所上席所員

岩間慶乃亮 慶應義塾大学博士課程

久島直人  中曽根平和研究所主任研究員

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