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2024/10/29
10月16日に、NPI「知りたいことを聞く」シリーズ「2024アメリカ大統領選挙のゆくえ」を開催しました。

 NPI「知りたいことを聞く」シリーズは、人々が関心を寄せる旬のテーマについて、第一線の研究者・実務家に「知りたいこと」を投げかけて見解を聞く討論会です。

 今回は、11月5日に迫った米国大統領選挙について、2人の米国専門家からお話を伺いました。


【パネリスト】

久保 文明 当研究所常任研究顧問(防衛大学学校長)

藤崎 一郎 当研究所顧問(元駐米大使)

【モデレーター】

平田 健治 当研究所主任研究員


質問(括弧内)と回答の概要は以下のとおりです。


(選挙結果の予想)

・接戦で結果は予想できない。世論調査では民主党候補に対する支持が過大評価されている可能性がある。ハリス候補の勢いは止まっている。バイデン大統領の撤退やハリス候補への交代があったのに、支持に大きな変化はなかった。(久保)

・数千人、数万人の差で選挙の結果が変わる。ハリス候補はバイデン大統領の政策を引きずり、ウォルズ副大統領候補は活躍できておらず、ハリケーンや中東情勢への対応も良い材料になっていない。(藤崎)

(トランプ候補が選挙結果を受け入れずに混乱が起きる可能性)

・混乱は起こり得るが、前回、議会に突入した犯人は刑事訴追されていることが抑止力になる。(藤崎)

・前回、トランプ候補支持者が各地で訴訟を提起したが、何れも敗北した。暴力も抑えられるから、内乱にはならない。(久保)

(ハリス候補当選時のバイデン大統領との差異)

・ハリス候補はバイデン大統領との違いを訴える点で弱い。経済政策は少し左寄り、不法移民対策は中道寄り、外交はバイデン大統領を踏襲か。(久保)

・バイデン大統領と基本は変わらない。ハリス候補はバイデン大統領から禅譲を受け、資金も組織も受け継いだというくびきの下で、左派の支持も得るべくもがいている。(藤崎)

(トランプ候補当選時のウクライナに関する日本の政策)

・ロシアのウクライナ侵略は国連憲章違反で、日本の政策は変えるべきではない。ただし、当事者が和平を受け入れる場合は支持せざるを得ない。(藤崎)

・国際社会が侵略を容認すれば、アジアの安全保障にも影響する。ウクライナの判断は欧州諸国、特に英仏独の支持にもよるが、ウクライナが受け入れる場合は尊重せざるを得ない。(久保)

(トランプ候補当選時の在日米軍駐留経費負担増要求、日米韓やクアッドへの影響)

・防衛費倍増計画、反撃能力構築計画を総理から直接説明して理解を得ることが重要だ。日米韓やクアッドについても、対中抑止力として説明すべきだ。(藤崎)

・首脳間で直接、粘り強く説明することが重要だ。国際関係を損得で見る傾向があり、多国間の枠組みについては強い情熱をもっていないことには留意が必要だ。(久保)

(日本製鉄のUSスチール買収)

・買収が成立しないと工場閉鎖に至る可能性が小さくない。いずれにせよ、選挙後に判断される。(久保)

・両社の名称から日本が米国を買うような印象を与え、買収の時期が悪くて両候補も反対せざるを得ない。選挙後は関心が下がる可能性もあり、労働組合による条件闘争になる。(藤崎)

(トランプ候補が支持される理由)

・トランプ候補は外国人の流入、製造業の後退、富の集中による国民の怒りをうまく利用した。(藤崎)

(今回の選挙の歴史的意義)

・米国は模範的な国とみなされてきたが、トランプ候補が再選されれば、多くの国がそのような見方を変え、米国の変容を象徴することになるかも知れない。(久保)

(大統領選挙の仕組みを変える可能性)

・憲法を修正するには3/4の州の賛成が必要で、極めて難しい。全米総得票数の勝者側に州の選挙人を与えるとの州の間の協約も共和党の賛成を得られない。(久保)

・総得票数では民主党が勝っていて、共和党は勝てなくなるので、絶対に変らない。現行制度では人口の少ない州や共和党が得をしている。(藤崎)

(激戦州以外の注目点)

・人口移動の影響が話題になったが、大きな影響はないかも知れない。(藤崎)

・長期的に見れば、人口移動の影響はあり得る。また、候補者の個性によって支持層が変化する。(久保)

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