2015/12/21
任期後半に入った朴槿恵政権(韓国)の経済運営
豊田裕(主任研究員)による報告を掲載しました。
「任期後半に入った朴槿恵政権(韓国)の経済運営」(PDF)
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(はじめに)
朴槿恵氏は2013年2月25日に韓国の大統領に就任し、足元では5年の任期の後半に入っている。李明博前政権の末期において「財閥主導・輸出主導」の経済政策に陰りが見えたことを踏まえ、これから潜在成長率の低下期を迎えつつある中で長期安定成長へとソフトランディングできるか否かの転換期、というのが朴槿恵政権発足時における韓国経済の位置づけであった。
韓国経済の成長率は、2000年代には+4~5%の水準を維持していたが、2010年代には+3%前後と減速している。1996年にOECDに加盟し、一人当たりGDPが2万ドル台後半となるまで経済発展をした韓国は、先進国化していく中で潜在成長率が低下していくのは自然の流れではあるものの、2015年の四半期別成長率は対前年同期比で+2%台半ばから抜け出せず、IMFの中期想定である+3%台半ばよりも低い水準が恒常化しつつある。
足元における韓国経済の現状と課題を洗い出し、朴槿恵政権が実施してきた諸対策を検討して転換期に対する適切な対応がとれているのかどうかを評価し、政権がこれからどのように対応していくべきかを考察したい。
加えて、韓中経済関係と日韓経済関係の展望についても取り上げたい。韓国は2000年代になって急速に中国との関係を緊密化させ、経済面では中国依存が顕著になっている。安全保障面では韓米同盟が基本ではあるものの、近年は中国への強い配慮が垣間見えている。経済面での中国シフトが更に進んでいくのか、加えて日韓の経済関係は今後どのようなものになっていくべきかについても、考察したい。