2019/02/27
米中貿易交渉の行方-大胆予想 主任研究員 杣谷晴久
米中貿易交渉の行方-大胆予想
(米中経済研究会コメンタリーNo.3)
杣谷 晴久(主任研究員)
(2019年2月26日09:00)
はじめに
米中貿易摩擦は、昨年7月6日、米国通商法301条に基づく追加関税発動と中国の報復によって「貿易戦争」に突入。お互い追加関税を発動し合いエスカレートし、米国の中国からの輸入額(5,056億ドル、2017年)で見れば約半分に追加関税がかけられる状態となった。
米国はそのうち2000億ドル分についての追加関税10%を今年(2019年)初めから25%に引き上げるとし、その圧力の中、12月1日に米中首脳会談を開催。
その結果、①中国による対米貿易黒字削減のための米国産品の大量購入の約束、②知的財産(以下「知財」)問題等構造的問題に関する協議継続、③年初からの追加関税引上げの90日間の猶予、のディール[i]によって、「貿易戦争」は「一時停戦」[ii]。
90日の一時停戦期間の期限である3月1日が近付く中米中貿易協議が断続的に行われ、その行方に世界が注目。
本稿では、米中貿易協議の状況を確認するとともに、その行方を大胆に予想したい。
1.米中貿易協議の状況
昨年12月の首脳会談後、両国の首都で次官級・閣僚級の協議を数回開催。閣僚級では3回目となる協議を予定していた2月20・21日に開催、さらに延長し24日まで協議継続。
その結果、トランプ大統領は「十分な進展があった」と指摘し、3月1日の追加関税引上げ期限の延期を表明[iii]。3月下旬目途で首脳会談が開催されることとなった。
3月5日から全国人民代表大会(以下「全人代」)開催という微妙なタイミングにあった習主席にとってはこの期限延長は渡りに船だ。
協議内容の詳細について両政府から発表はないが、報道[iv]からすれば協議の現状は以下のとおり。
①中国の対米貿易黒字の削減-短期的課題
中国側は米国からの輸入を6年で1兆ドル規模増やす貿易促進策を提示。さらに、大豆や液化天然ガス、半導体等具体的品目ごとに輸入増の数値目標で合意した模様。米国の対中赤字は3755億ドル(2017年)。
劉鶴副首相が1月31日にトランプ大統領と面会した際に大豆輸入拡大を強調していたが、トランプ大統領の重要な支持基盤である米国中西部の大豆農家は喜ぶに違いない。パーデュー農務長官も中国が1000万トンの米国産大豆を買い増すことで合意と早速ツイート。
②知財窃盗、産業政策「中国製造2025」等-構造的課題
知財窃盗や技術移転強要の問題については、中国は米国がある程度納得できる案を出した模様。中国は、特許法改正案で特許侵害者への懲罰的損害賠償等を、外商投資法案で技術移転強制を禁じる規定を盛り込んでおり[v]、全人代で審議の上3月中に法律成立の予定[vi]。こうした制度改革の努力を強調か。ライトハイザー通商代表は「中国の技術移転の強要等でも解決策で進展」と述べている。
他方、知財侵害の認識度合い、産業補助金のあり方、サイバー攻撃の問題では、双方の立場に開きかある模様[vii]。補助金政策は「撤廃には応じていない」(米交渉筋)とされている。
習主席が2月15日に米側代表団と面会した際、「食い違いは協力で解決したいが、協力には当然原則がある」と述べた。
習主席は「貿易では譲歩するが、体制を変えるような(構造問題の)譲歩はしない」方針とされる。「すべてを共産党が指導」「中国の特色ある社会主義の堅持」といった「原則」に抵触するような米側による構造改革要求は受け入れられないとの立場を伝えたと考えられる[viii]。
為替問題については、中国側が自国の輸出を後押しするための通貨安誘導をしないと確約し、ムニューシン財務長官は「最終合意に達した」「通貨における最も強力な合意の一つ」と評価。
中国が為替介入をする場合の時期と理由を米国に通報する義務を課し、違反した場合には中国からの輸入品への関税を上げる旨合意したとの報道がある[ix]。他方、履行確保(執行メカニズム)に関しては交渉が継続されているとの報道もある[x]。
③貿易協定の作成
両国で合意内容を「貿易協定」(当初「覚書」と呼んでいたのを、トランプ大統領がそれでは重要なもの(the thing)に聞こえないと拘ったため変更[xi])にする協議がされている[xii]。
・中国の貿易黒字削減
農産品やエネルギー、半導体製品の輸入等を含む10項目の短期的措置のリスト
・構造問題
技術移転、知的財産、サービス、為替、農業、非関税障壁(「中国製造2025」を含む.。)の6項目
・執行(enforcement)メカニズム
中国の改革の進捗測定、約束違反の場合の制裁関税等
2.今後の行方の予想
米中首脳会談を3月下旬を目指して開催することとなったが、協議の行方はどうなるであろうか。
最終結果は予測不能なトランプ大統領の胸先三寸にかかっているので、予想は難しいが、以下のとおりと予想する。
(結論)
トランプ大統領・習主席双方とも相当強くディール成立を望んでいる中、現在両国で「貿易協定」のすり合わせの段階まで進んでいるので、次の首脳会談(複数回になる可能性はある)でディールが成立する確率は90%以上あるのではないか。
交渉の妥結のために最も重要なのは、両者が本気でまとめたいと思っているかどうかだ。
ディールが成立すれば、トランプ大統領は、その結果を自画自賛し、大統領再選に向けて成果として誇示するだろう。
(考え方)
①トランプ大統領の意向
トランプ大統領は2月22日時点で両国の協議は「非常に重要な進展」「取引が成立する公算が大きい」と述べる[xiii]等、随所に合意への期待がにじみ出ている。次の首脳会談を「(貿易協定の)署名のための首脳会談(signing summit)」とまで表現した(ディールが「まったく成立しないかもしれない」とも同時に述べているが。)[xiv]。
「取引で禁物なのは、何が何でもこれを成功させたいという素振りを見せることだ。」[xv]との信条を持つトランプ大統領にしては、本件に関して前向きな発言が多く見られる。これは米国株式市場によるネガティブな反応を恐れているからだと思われる。
昨年12月の米国株価の下落に際し、トランプ大統領が「食い止めるにはどうすればいいのか」と焦ったのを受け、政府高官が著名投資家にひそかに助言を求めたところ、中国との貿易交渉で合意を目指す等のアドバイスを得たとされている[xvi]。
トランプ大統領は先般の一般教書演説の際にも「空前の好景気をもたらした」と自画自賛していたが、大統領再選を目指すために米国の株価や景気の落ち込みは是非とも避けたいだろう。もし「米中の決裂」に至れば米国の株価や景気への相当の悪影響が予想される。トランプ大統領としては、本心では、中国と早期にディールしたいと考えているに違いない。
トランプ大統領は「交渉団ではできない取引をする」とも述べており[xvii]、対中強硬派と言われるライトハイザー通商代表やナバロ大統領補佐官を抑えつつ、習主席との間で取引をするつもりと思われる。
これに関連して、トランプ大統領は「ファーウェイを貿易交渉の材料にするかもしれないし、しないかもしれない」と劉副首相もいるところで22日に述べた[xviii]。米当局が同社を企業秘密窃取で起訴した件、同社排除の一環として外国企業の通信機器の米国企業による使用を禁じる大統領令の発令を予定している件等を習主席との取引のテコに使う可能性もある。
なお、今回米中首脳間でディールが成立して追加関税引上げをしない場合でも、トランプ大統領はその後の中国との話し合いのテコにするため既に賦課している追加関税までは撤回しない可能性に言及している[xix]。
②習主席の意向
まず、習主席は、前記拙稿であり得るとしていた「韜光養晦(とうこうようかい)」[xx]路線への復帰を決めたようで、原則として米国との表立った対立を避けるだろう。習主席は12月18日の「改革開放40周年記念大会」の演説で「中国の発展はいかなる国の脅威にもならず、永遠に覇権を唱えない」と述べたが、これはその表れだろう[xxi]。
ただ、「孫子の兵法」等から学んだ、爪を隠しつつ、「勝利(この場合、覇権)獲得まで数10年、それ以上耐える」戦略に違いない[xxii]。
次に、米中貿易戦争によって、中国経済に相当の悪影響が出てきており、米国との対立を鎮めて貿易制裁を緩和させ、中国経済への悪影響を食い止めたいと考えているに違いない。
習主席は1月21日、政府高官や全国から共産党幹部を集めた党会合で「経済が直面する国際環境と国内条件は深刻で複雑な変化が生じている」と述べた[xxiii]。この会合は、例年なら地方議会が開催される時期に異例の指令が党中央から飛んで緊急招集されたものであり、対米関係や景気減速のリスクに習主席が差し迫った危機感を覚えている表れと言えよう[xxiv]。
中国は景気対策の規模拡大[xxv]にも追い込まれている。
③折り合い困難な中国の構造問題
産業政策「中国製造2025」等中国側が譲れない問題については、どう考えればよいだろうか。
例えば、刺激的な達成目標数値を削除する等[xxvi]形式的とも言える変更で両者が折り合うのだろうか。又は、かつて日米間で「日米構造協議」等構造問題を巡る政府間協議が10年以上続いたが、同様の協議の枠組みが今回合意され、継続的に協議されることになる可能性もある。
(「中国製造2025」で譲れない理由)
ここで中国が産業政策(「中国製造2025」)で譲れない理由を改めて考えてみたい。
産業政策(「中国製造2025」)は、米国からの「覇権奪取」を含意する「中華民族の偉大な復興」との国家の大目標の重要な柱である「製造強国」実現の手段だから譲れない、と考えると、猛々しく聞こえる。
だが、少し角度を変えて見れば、中国にとってもっと切実な事情があることが分かる。
先般のダボス会議に出席した王岐山副主席は演説の中で、「国々による・・・世界のテクノロジー支配システム(global technological governance system)への対等な参加の権利を尊重」すべきと述べた[xxvii]。いわゆる「発展の権利」の問題と言えるが、この問題は理念の問題だけではない。
中国は一人当たりGDPで見ると約8,643ドル(2017年,IMF)[xxviii] であり、「中所得国の罠」に陥らず発展を継続するためのイノベーションが必要な状況だ。「中所得国の罠」とは、ある国の一人当たりGDPが1万ドルを超える辺りで製造業の人件費が高くなり、安い人件費の後進国との競争が不利になる一方、先進国には技術面で負けるため、中所得国状態を抜け出せないことを指す。
また、中国は少子高齢化によって生産年齢人口は2010年代に半ばまでにピークを過ぎ今後一直線に減り続け、特に、一人っ子でチヤホヤされて育った1980年代以降の中国人は製造現場を嫌いブルーカラーの人口が急激に減少する深刻な状況[xxix]。こうした労働力減少を補うためにも、技術革新が必須の状況にある。
経済発展ができない状況になると、中国共産党の正統性が揺らぎ、国家体制にも関わる事態に陥りかねない。
なお、国家体制の観点からは、.共産党の統治基盤そのものである、エネルギー、金融、軍需等国家安全保障に直結した産業を独占する国有企業への補助金停止要求は統治システムへの変更を迫るものであり譲れない[xxx]とも言える。
(米国も模倣から発展)
中国は知財窃盗をしていないと主張しているので、表立って主張はしないであろうが、心の中では、米国だって自国より進んだ国の模倣等で技術を獲得し発展してきたのに不公平だとの思いもあるだろう。
米国は、フランス型武器互換性技術やイギリス型繊維機械技術の模倣等からミシン、自転車、電気機械、自動車等の大量生産に成功し、技術覇権を握ったことで、パックス・アメリカーナを築き上げた。
自動車分野では、当時の先進国フランスから技師を雇ったり、フランス車を分解し技術を盗んだりした。
通信分野では、電話の発明で有名なベルもイギリス人で後にアメリカに帰化しているし、GEのスウェーデン人技師が発明した革新技術を米国政府が安全保障理由で囲い込むとともに国策企業の独占を構築しイギリスを叩いて通信覇権を奪った[xxxi]。
中国はこうした例をよく勉強しているに違いない。
④執行メカニズムはどうなる?
約束に反した場合の米国による関税引上げ等罰則を盛り込むことへの中国の抵抗は強いだろう。なお、二国間でこのような制裁関税引上げを勝手に決めるのはWTOルール上も違反の可能性が高いのではないだろうか。
最終的には、両者が歩み寄って、違反の疑義があれば二国間で協議を開始する等緩い縛りにする、米国側が一方的にそうした制裁の権利を留保すると言い放つ形にする等何らかのメカニズムを編み出すことはできるとも考えられる。
3.結び
(追加関税引上げ)
結論を繰り返せば、米国による対中追加関税引上げに関して3月1日の期限の一旦期限延長とともに追加関税引上げも延期され、首脳会談を3月下旬を目指して開催することとなった。トランプ大統領・習主席双方とも相当強くディール成立を望んでいるので、次回首脳会談(複数回になる可能性はある)でのディール成立の可能性は極めて高い(確率90%以上)のではないか。
なお、米中首脳間の会談でディールが成立して追加関税引上げをしない場合でも、トランプ大統領は既に賦課している追加関税までは撤回しない可能性に言及している。
(その後の行方)
追加関税引上げ問題について首脳間でディールが成立した後の米中対立はどうなっていくであろうか。
第一に、今回おそらく「貿易協定」に執行メカニズムが導入されると、中国による約束の実行を巡って随時両国の摩擦が繰り返されるだろう。
特に、知財の問題はルール(法整備)が整備されても、その執行(エンフォースメント)が伴わず、現実が変わらない可能性も想定される。裁判になった場合を考えると、中国の場合、裁判所も中国共産党の下にあり、中国の核心的利益に関する時は党の指導に従う体制でもある。
第二に、トランプ大統領は今回のディールの成果を強調ししばらくは対中対決姿勢を弱めるとも思われるが、拙稿「「米中首脳会談」と今後の「米中貿易戦争」」[xxxii]でも取り上げた「2重構造の大統領制」(two-track presidency)」[xxxiii]と言われる米国政権内の状況にかんがみ、中国の問題を単なる貿易問題を超えた覇権への挑戦と捉えより深刻に考えている政府の基盤層における強硬姿勢は不変だろう。
また、米国議会においても同様に強硬姿勢は続くであろう。
特に、法定された技術流出を防ぐ輸出規制や投資規制強化による中国への対抗は既に法定されている。
(最後に)
以上の予想は予想として、GDP世界第一位と二位の米中の貿易戦争による日本を含む世界経済への影響[xxxiv]の大きさにかんがみ、今後とも米中貿易協議の行方を引き続き注視していきたい。
[i] ディールの内容の詳細は、以下の①から④(日本経済新聞(2018年12月3日)より)
①米国が来年年明けから予定していた2000億ドル相当の中国からの輸入品への追加関税の引上げ(10%→25%)の90日間猶予
②90日の猶予期間中に、ア.米企業への技術移転の強要、イ.知的財産の保護、ハ.非関税障壁、ニ.サイバー攻撃、ホ.サービスと農業の市場開放の5分野を協議し、結論を得る。
③90日以内に合意できなければ、猶予した2000億ドルへの追加関税の引上げを実施
④中国は、対米貿易黒字の削減のため、米国産の農産品、エネルギー、工業製品等を大量に購入。農産品は直ちに購入開始簡単な経緯
また、同首脳会談後トランプ大統領がツイートした中国による自動車輸入関税引き下げに関しては、同年12月14日、中国国務院は米国から輸入する自動車関税を2019年1月1日から同3月31日まで40%から15%に引き下げ(対抗措置での追加関税25%分を引下げ)と発表(2018.2.18日本経済新聞)。
さらに、中国政府は2019年1月から自動車分野の外資規制を緩和(中央政府の認可が必要だった合弁乗用車メーカーの設立と、18年から外資単独進出が認められるようになった電気自動車メーカー設立の認可権限を地方政府に委譲、認可ハードルが下がるとみられる。)(2018.12.20日本経済新聞)
[ii] 以上の経緯は、2018年12月7日当研究所HP掲載の拙稿「米中首脳会談」と今後の「米中貿易戦争」より引用 https://www.npi.or.jp/research/2018/12/07115055.html
[iii] 2019年2月25日 日本経済新聞デジタル https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41694110V20C19A2MM0000/?nf=1 2019年2月25日アクセス
[iv] 特記しない限り2019年2月24日 日本経済新聞
[v] 2019年1月10日 日本経済新聞
[vi] 2019年2月1日 日本経済新聞
[vii] 丸紅経済研究所China Economic Outlook 2019年1月
[viii] 2019年2月16日 日本経済新聞
[ix] 2019年2月24日 New York Times "Trump Delays a Tariff Deadline, Citing Progress in China Trade Talks" https://www.nytimes.com/2019/02/24/us/politics/us-china-trade-truce.html?action=click&module=Top%20Stories&pgtype=Homepage 2019年2月25日アクセス
[x] 2019年2月24日 ブルームバーグ https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-02-23/u-s-china-said-to-be-haggling-over-how-to-enforce-currency-pact 2019年2月24日アクセス
[xi] 2019年2月25日 CNN.com "Trump declares 'signing summit' for imminent trade deal with China" https://www.foxnews.com/politics/trump-delays-china-tariff-hike-announces-xi-summit-citing-substantial-progress-in-trade-talks 2019年2月26日アクセス
[xii] 2019年2月21 ロイター https://www.reuters.com/article/us-usa-trade-china-deal-factbox/factbox-u-s-china-drafting-memorandums-for-possible-trade-deal-idUSKCN1QA07W 2019年2月21日アクセス なお、CNNは"Trump predicts 'very good chance' of China trade deal" (2019.2.23)で覚書は「非関税障壁」「技術移転強制」「知財」「サーバー窃盗」「農業」「為替」の6分野で作成中とする https://edition.cnn.com/2019/02/22/politics/trump-china-trade-talks/index.html 2019年2月24日アクセス
[xiii] 2019年2月24日 日本経済新聞
[xiv] 2019年2月25日 Bloomberg "Trump Suggests 'Signing Summit' With Xi as China Talks Advance" https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-02-24/trump-extends-china-tariff-truce-after-substantial-progress?srnd=premium-asia 2019年2月26日アクセス
[xv] ドナルド・トランプ他「トランプ自伝」2008年 ちくま文庫p71
[xvi] 2019年1月16日 日本経済新聞
[xvii] 2019年2月14日 日本経済新聞
[xviii] 2019年2月24日 日本経済新聞
[xix] The New York Times "Excerpts From Trump's Interview With The New York Times" Feb. 1, 2019 https://www.nytimes.com/2019/02/01/us/politics/trump-interview-transcripts.html 2019年2月22日アクセス
[xx] 1990年代に最高指導者、鄧小平氏が強調した「才能を隠して、内に力を蓄える」という中国の外交・安保の方針(日本経済新聞 2013年6月16日)
[xxi] 2018年12月18日 共同通信社。なお、同演説では、「中国共産党が指導する中国の特色ある社会主義を堅持する」、「改めるべきでないものや改められないものは断固改めない」とも述べている(2018.年12月19日 日本経済新聞)。
[xxii] 元CIAの中国専門家マイケル・ピルズベリーが、中国が中国戦国時代の「孫子」「戦国策」等から学んで構築したとする米国からの世界覇権奪取のための「100年マラソン戦略」は、以下の内容である。
・敵の自己満足を引き出して警戒態勢をとらせない。
・勝利獲得まで数10年、それ以上耐える。
・戦略的目的のため敵の考え・技術を盗む。
・「勢い」を見失わない。「勢い」とは、敵を動かざるを得なくして勝つ神秘的な力。
・他国の包囲や欺罔を警戒する。(「囲碁」の極意)
[xxiii] 2018年1月22日 日本経済新聞
[xxiv] 「米中貿易戦争「決着前」に習が激 2019年2月 FACTA 3月号
[xxv] 昨秋以降に固まった対策は減税とインフラだけで2兆5千億元(約40兆円)超に上る(2019年1月29日 日本経済新聞)。他に、環境に優しい車や家電への買替え補助の消費刺激策も1月29日に中国政府が発表(2019年1月30日 日本経済新聞)
[xxvi] 2018年12月13日 産経新聞電子版は、ウォールストリート・ジャーナル(電子版)の記事を引きつつ、中国政府はハイテク重要分野の部品で国内企業から調達するシェアの数値目標を盛り込まず自国優遇の度合いを緩和する方向と報じた。 https://www.sankei.com/world/news/181213/wor1812130017-n1.html 2019年2月25日アクセス
[xxvii] The Wall Street Journal "China's Vice President Decries Technological Hegemony" Jan. 23, 2019 https://www.wsj.com/articles/china-vice-president-urges-governments-to-address-their-domestic-problems-11548258999 2019.2.20アクセス
[xxviii] 外務省HP https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/data.html#01 2019年2月21日アクセス
[xxix] 近藤大介「未来の中国年表」2018年 講談社現代新書 p160-162
[xxx] 「米中貿易戦争「決着前」に習が激」2019年2月 FACTA 3月号
[xxxi] 米国の模倣等による発展の例は、薬師寺泰蔵(「テクノヘゲモニー」 1989年 中公新書p151-203)による
[xxxii] https://www.npi.or.jp/research/2018/12/07115055.html
[xxxiii] ニューヨーク・タイムズに、匿名の政府高官が、トランプ大統領の原則なき衝動的決定に抵抗し真に国家のためになる政策を行おうと努力している有志が政権内におり、いわば「2重構造の大統領制」(two-track presidency)になっていると書いた("I am part of the resistance inside the Trump Administration" by a senior official in the Trump administration, NYT Sep. 5, 2018)。
[xxxiv] 2019年1月の日本の中国向け輸出は前年同月比17.4%と大きく落ち込んだ。中国経済減速の影響があり、中国向け輸出の低迷は、日本だけでなく、韓国や台湾等中国向けの部品供給網を構成するアジア各国・地域に広がっている。(2019年2月21日 日本経済新聞)