2019/03/20
米中経済研究会レポートNo.11ー 「米中摩擦による日本の対中国ビジネスへの影響」を掲載しました。
米中経済研究会レポートNo.11ー 「米中摩擦による日本の対中国ビジネスへの影」
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(要旨)
- ●2018年の米中貿易摩擦の激化に加え、同年末にかけて顕在化した中国経済の変調により、今後の対中国ビジネスの方向性に対する不透明感が強まっている。
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●米中貿易摩擦は当事者である米国と中国の経済に悪影響を及ぼす一方、日本など第三国は、両国の調達先変更による輸出増の恩恵を受ける。しかし、東アジア地域のバリューチェーン(価値の連鎖)が悪影響を受け、同地域の貿易は大きく押し下げられる。
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●中国進出日系企業の「チャイナ・プラスワン」の動きは2000年代半ばから続いており、貿易摩擦の要因でその動きが加速する傾向は確認できない。中国の内需を目的に進出する企業は、中国事業を維持・拡大する傾向がみられる。
- ●米国企業は内需目的企業を中心に、非関税障壁の削減など公平な競争環境を強く求めている。主に華南地域で輸出依存度の高い企業の間に東南アジアなどへの生産移転を検討する動きがみられる。
- ●ハイテク技術分野での米中の覇権争いは長期化する見込みだ。米国は安全保障の観点から、中国を念頭に技術流出を阻止するための貿易・投資管理体制の強化を急速に進める。一方、中国も半導体の国産化の促進など「中国製造2025」の目標達成を強く押し進めている。
- ●米中協議の重点項目である、知的財産の保護や技術移転の強要問題のなど構造問題の改善は期待されよう。ハイテク関連分野の日本企業の対中投資意欲は高まる可能性があるが、米国技術の中国への流出に加担しないよう、厳格な社内の管理体制が求められる。
- ●ハイテク以外で中国が市場開放の方針を打ち出した分野、例えば、サービス分野などは日本企業にとって中国での事業展開のチャンスが相対的に高いとみられる。
以上