2019/09/02
百本和弘主任研究員「韓米FTAで韓国はどう変わったのか」を掲載しました。
百本和弘主任研究員の研究ノート「韓米FTAで韓国はどう変わったのか」を掲載しました。本文はこちらからダウンロードでご覧になれます。
(要旨)
●2012年の韓米FTA発効後、韓国の対米貿易黒字が急増した。最大の要因は対米自動車輸出の増加である。ただし、これは現代・起亜自動車ではなく在韓外資系自動車メーカーの対米輸出増によるものであり、純粋なFTA効果というよりもこれらメーカーの韓国生産の下支え戦略によるところが大きい。
●韓米FTAを契機に韓国の養牛農家数は減少速度を速めた。ただし、減少したのは零細農家で、大規模農家はむしろ増加し、養牛業の大型化が進展した。また、米国産牛肉輸入が増加する中でも、国内養牛業は生産基盤を維持している。韓国の畜産業の現状はTPP11が発効し、米国との貿易協定発効が視野に入った我が国にとっても参考になろう。
●2018年に行われた韓米FTA改定交渉で韓国は米国に譲歩したものの、それによる国内産業への影響は軽微であった。その意味で韓国は改定交渉をうまく乗り切ったといえる。
●韓米FTA改定交渉と同時に進められた米国の鉄鋼輸入制限措置を巡る交渉で、韓国は25%の関税の免除の代わりに輸入数量割当規制を受け入れた。その結果、米国の主要鉄鋼輸入国の中で韓国からの輸入の不振が目立つかたちとなった。これは、数量割当規制受け入れが失敗であったことを示すものであり、反面教師とみるべきであろう。
以上