2020/04/01
米中経済研究会レポートNo.20―「中韓経済関係の緊密化と最近の変化」(百本和弘主任研究員)を掲載しました。
米中経済研究会レポートNo.20―「中韓経済関係の緊密化と最近の変化」(百本和弘主任研究員)
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(要旨)
●韓国の対中輸出は1990年代から2010年代初頭まで増加が続き、韓国の輸出総額に占める対中輸出の割合は約25%に達した。輸出主導型で成長を続けてきた韓国経済にとって、中国への依存度は着実に高まった。
●しかし、2013年を境にして韓国の対中輸出は伸び悩んでいる。品目別にみると、中国の国産化が遅れている半導体、半導体製造装置などの対中輸出は堅調だが、中国地場企業の競争力が向上し生産能力が拡大したフラットパネルディスプレイなどの対中輸出は減少している。
●韓国企業の中国進出の目的は輸出向け生産拠点構築から中国内需獲得に移った。しかし、中国企業向けであれ、中国の最終消費者向けであれ、内需獲得を目指した韓国企業の中国ビジネスは、競争力を高めた中国地場企業との熾烈な競争にさらされることが少なくない。韓国を代表する現代自動車、サムスン電子(スマホ事業)の中国市場での苦戦がそれを象徴している。
●米中貿易摩擦を受けて米国向け生産拠点を中国から他の国に移管する韓国企業の事例は限定的である。とはいえ、この問題で中国内需が減速すれば韓国経済は大きな影響を受けることになる。
●新型コロナウイルスが中国のみならず全世界で感染拡大した結果、輸出の不振が本格化し、2020年の韓国経済がマイナス成長に陥る恐れも出てきた。また、感染拡大の初期段階では、中国からの自動車部品輸入が滞り、韓国国内の完成車工場が一時、操業を中断するなど、中国製部材に依存する韓国製造業のサプライチェーンの脆弱性といった供給サイドの問題がクローズアップされた。
以上