2024/08/29
海洋安全保障研究委員会リサーチノートNo.3「ハイブリッド脅威分析のコンセプト・モデルの台湾有事抑止への適用可能性とその課題」(川嶋隆志・中曽根平和研究所主任研究員)を掲載しました。
本稿は欧州ハイブリッド脅威対策センター(Hybrid COE)がロシアによるウクライナ侵攻の分析に使用したといわれるハイブリッド脅威分析のコンセプト・モデルを、中国による台湾に対するハイブリッド戦に適用し、台湾有事抑止のためのモデルとして活用する意義と課題について検討することを目的とする。
ロシアによるウクライナ侵攻は、本格的軍事侵攻を抑止するための3つの教訓として、①抑止力強化(防衛力整備)による侵攻回避の重要性、②非合理的意思決定に備える必要性、③軍事・非軍事的手段による複合的な活動、いわゆるハイブリッド戦への対処の重要性を示した。
このロシアによるウクライナ侵攻開始以降、中国による台湾侵攻の可能性に注目が集まり、多くのシンクタンク、研究者が台湾有事に係る様々なシナリオ・影響について分析している。これらの研究を前述のロシアによるウクライナ侵攻の教訓に当てはめると以下のとおりとなる。