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2019/12/06
NPIメールマガジン(日韓GSOMIAの失効回避と今後の展望)

NPIメールマガジン(日韓GSOMIAの失効回避と今後の展望)

22日、韓国政府はGSOMIAの終了通告の効力を停止すると発表しました。これを受けて弊所では、韓国政治を専門とする西野純也上席研究員(慶應義塾大学法学部教授)にお話を伺いました。

―GSOMIA失効通告の停止に対して、韓国世論はどのように反応しているのか?
 先週の世論調査では過半数が失効を支持していたが、自由韓国党などの保守陣営は8月のGSOMIA破棄に激しく反発していた。主要政党は与野ともに今回の決定を歓迎したが、保守陣営は安全保障上のカードを切って一度は協定の破棄に踏み切った文政権を批判している。一方、進歩系の市民団体は今回の決定に失望感を表し、引き続きGSOMIA破棄を求めている。したがって、文政権は今回、国内政治的にリスクの高い決定をしたことになる。

―今回の韓国政府の決定には、アメリカの役割が大きかったのか?
 アメリカが相当強く働きかけたことが奏功したかたちとなった。8月以降、アメリカ政府から相次いでGSOMIA破棄への懸念が表明されてきたし、今月に入ってからもスティルウェル国務次官補やエスパー国防長官が相次いで訪韓して、GSOMIAの重要性を強調した。水面下での日韓両国への働きかけも含め、アメリカの決定的な影響力があったことは間違いない。アメリカが、韓国と現在交渉中の在韓米軍駐留経費の問題を明確にリンクさせたかは不明である。但し、韓国政府の今回の決定は、米韓同盟の管理(アライアンス・マネジメント)という観点が強く反映されたと見る。

―北朝鮮は、今回の決定にどのように反応しているのか?
 北朝鮮は、かねてからGSOMIAを含めた日韓、日米韓の安保協力に反発していた。特に、今年の後半以降は米韓合同軍事演習の実施を強く非難するなどその傾向を強めており、今回の決定に対して批判的な談話やコメントを出すことは十分ありえる。GSOMIA継続が非核化プロセスを一層遅らせる口実にされる可能性も排除できない。

―今後の展望は?
 輸出管理に関する日韓協議の行方をまず注視していくべきだろう。韓国政府は7月以降の日本による輸出管理強化措置(韓国のホワイトリスト除外)の撤回を引き続き求めており、協議を通じてその道筋をどう描いていくかが焦点となる。あわせて、現在の関係悪化の根本原因である「徴用工」問題で日韓両国が立場の違いを少しでも埋められるかも重要である。昨年10月の韓国大法院判決を受けて差し押さえられた日本企業資の資産が来年春頃に「現金化」される見通しのため、それ以前にこの問題の解決に向けた合意を導きだせるがもう一つの焦点となる。当面は12月の日中韓首脳会談の際に、安倍首相と文在寅大統領が直接会談し、その場で日韓の諸懸案を解決する決意を示せるかどうかに注目したい。

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