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2020/11/19
NPIメールマガジン「ロシアから見る米中関係」(米中関係研究会 no.4)

中曽根平和研究所の「米中関係研究会」(研究リーダー:川島真上席研究員、
東京大学大学院綜合文化研究科教授)は9月4日、「ロシアから見る米中関係
-米中大国間競争の狭間におけるロシア」と題して、小泉悠東京大学先端科学技
術研究センター特任助教のご報告をもとに、議論を行いました。
主なポイントは以下の通りです。

・「ロシアにおける米中関係」は、21世紀初頭の世界全体に対するロシア側の
理解を概観し、大きな状況の中で考えることが必要である。

・まず、ロシアは冷戦後の世界を米国の「一極支配」とみなし、1990年代後半
から「多極世界」の構築というテーゼを掲げて、ロシアが一定の発言権を持つ
世界を目指した。2000年代末以降、米国の「一極支配」は衰退局面に入ったと
認識、中国等の新興国台頭によるパワーバランスの変化も織り込んだ。そして
2010年代以降、ロシア自身が経済・人工・科学技術面で停滞局面に入る中、
米国の覇権の終焉とは言えないかもしれず、ロシアが「極」の一角に留まれな
いかもしれないとの危機感も持っているのが現在の情勢認識だろう。

・中国はGDPでロシアの約8.4倍、人口でロシアの約10倍、5G通信やAI等の
最先端技術で米国と肩を並べ、国防面でもロシアの優位を脅かしている。陸上
で4000kmもの国境を接し、国力でロシアを引き離す中国との対立は、西側と
の対立より遥かに深刻な安全保障上のリスクである。

・今、ロシアが中国の台頭を受け入れられるのは、中国が米国との間で緊張を孕
んだ関係にあり、それゆえロシアが必要とされる状況があるからだ。ロシアが
中国と距離を置くことを条件に西側との和解を図るという提案も想定できなく
はないが、相当な対露宥和を提案しない限り、ロシアが対中協調路線を転換す
る動機は乏しいだろう。ロシアが中国と緊密で米国がこれに懸念を示すという
事実は、西側にロシアを「高く売る」ポテンシャルも担保している。

・2020年1月、プーチン大統領は国連常任理事国の首脳に「P5サミット」を提案
した。中露を国際秩序に対する「現状変更勢力」ではなく、戦後秩序の形成・維
持を担う力と位置づけ直すのが目的と考えられる。が、問題は、米国中心秩序
(ポスト冷戦秩序)の維持か、中国がより大きな役割を担う新たな秩序(G2ない
し米中冷戦)なのかだ。となれば、現実にロシアが選択可能なオプションは、や
はり中国の追随(その度合いはさまざまにせよ)ということになろう。

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小泉先生の発表内容は、< https://www.npi.or.jp/research/2020/10/12142408.html > からご覧ください。
米中関係研究会は今後も定期的に研究会を開き、成果を発信していきます。

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