2020/11/19
NPIメールマガジン「インドから見る米中関係」(米中関係研究会 no.5)
中曽根平和研の「米中関係研究会」は10月22日(木)に「インドから見る米中関係」として、在インド大使館の安藤俊英氏からお話を伺い、議論を行いました。
安藤氏のご報告の骨子は以下です。
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「インドから見た米中対立~「戦略的自律」外交の行方~」
■インドの基本的な外交政策である「戦略的自律」とは、他国によって制約されることなく、自国にとって好ましい外交政策を採用することとされている。その背景には、植民地の歴史に基づく外国からの干渉への忌避感、地域大国という自負、中国やパキスタンと隣接する戦略的環境形成等があると考えられる。
近年の近隣諸国・インド洋における中国の影響力拡大を受けて、インド外交の軸足も変化してきている。対中外交としては、首脳間で印中外交をマネージしていることを示す事例が見られるが「実体を伴わないレトリックに過ぎない」との見方も強い。一方、対米関係は象徴的にも実体的にも強化されている。包括的グローバル戦略パートナーシップへの格上げ、インドによるアメリカの防衛装備品調達はその一例である。
■こうした中で発生・拡散した新型コロナウイルスは、経済・政治安全保障の両面でインド外交に大きな影響を及ぼした。インドは対中経済依存を是正する各種の政策をとり、米・豪・ニュージーランドとの二国間FTAの動きも強めると見られる。また、今年6月、45年ぶりに印中国境地域における衝突で犠牲者が発生したことについて、国内では「この衝突は従来と質的に異なり、コロナ禍における力の空白を狙う中国の一方的な現状変更の試みの一環」との見方が強まっている。安全保障面でもインドは日米豪との協力を急速に進めており、従来の「戦略的自律」を維持しつつも、実質的には日米豪との協力を強化する流れは変わらないと思われる。
■こうした戦略的環境形成の下、日印両国は「特別戦略的グローバルパートナー」としてFOIPのビジョンを共有し、安全保障面でも経済面でも協力を強化している。ポストコロナの国際秩序を形成する上で、大国インドは主要なプレイヤーかつ極めて重要な戦略的パートナーである。日印間のみならず、日米豪印等の枠組みも積極的に活用して協力を進めていくことが重要となろう。
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安藤氏の発表内容は、< https://www.npi.or.jp/research/2020/11/16155546.html > からご覧ください。
米中関係研究会は今後も定期的に研究会を開き、成果を発信していきます。
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