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2021/03/31
NPIメールマガジン 久保研究本部長による緊急提言「米国新政権と日本: 日米首脳会談前の緊急提言」

報道によれば、菅総理大臣は来月8日からワシントンを訪問し、9日にもバイデン大統領との日米首脳会談を行うことで調整を進めており、バイデン大統領が就任後対面で会う初めての外国首脳になる見通しである(NHK・3月29日)。
そこで、米国と対中国・北朝鮮政策及び日米関係の現状と、この二か月ほどのバイデン政権の対応を踏まえ、日米首脳会談を前に次の提言を行いたい。

 「米国新政権と日本: 日米首脳会談前の緊急提言」
中曽根康弘世界平和研究所研究本部長 久保文明
URL https://www.npi.or.jp/research/2021/03/31151155.html

<概要>
第1部 現状
1. 対中政策
「脱トランプ」が対中政策にも及ぶかのどうかは、バイデン新政権の外交政策を占う上で重要な注目点となる。現時点では中国への厳しい姿勢が、トランプ政権より体系性を持った形で、おおむね維持されているようにみえる。
また、バイデン政権は、日本、オーストラリア、NATO諸国、インドなど、同盟国・友好国との関係強化を重視して対中政策を考案する方針である。この点ではトランプ政権の対中政策と手法において一定の違いが見られる。
米中の論点は、人権問題、台湾問題、東シナ海・南シナ海問題、インド太平洋・日米豪印関係、対中政策関連の人事など多岐にわたり、中には気候変動、感染症対策等中国との協力の可能性を模索する分野もある。
我が国としてはバイデン政権の方向性を注視しつつ、バイデン政権にも引き継がれたインド太平洋及び日米豪印の枠組みを主体的に強化することが必要となろう。ただし、米国が多数の同盟国・友好国を結集して中国に強い警告を発しようとしていることを十分理解した上で行動することが肝要である。

2. 対北朝鮮政策
米国からは、北朝鮮問題への対応にあたり、日米同盟の重要性は強く認識する一方、日韓関係の協力強化を求める声も強まることが予測される。
重要な課題である「北朝鮮の非核化」を目標に掲げる米国の姿勢は、バイデン政権でも維持される可能性が高い。
なお対北朝鮮政策の見直しが現在進行中であるが、日米、日米韓の外交当局による局長級協議等の場を通じて、拉致問題の重要性を含め、日本としての考えを米側にインプットする必要があろう。

3. 日米関係
中国と対抗する上での同盟の価値も上昇しており、特にバイデン新政権は、同盟国との連携を重視する姿勢を繰り返し強調している。とりわけ日米関係では、途上国へのインフラ支援、高度技術、気候変動対策等への貢献が求められるだろう。ただ、気候変動対策においては、米国と欧州が一挙に先を走る状況となり、日本が孤立しないように注意する必要がある。

第2部 提言
トランプ政権が発足した2017年1月の提言において、本研究所は防衛費を我が国GDPの1.2パーセント程度まで引き上げることを提言した。
また、防衛態勢についても、ミサイル攻撃に対してはミサイル防衛のみでなく、抑止力の強化をこれまで以上に重視するなど、費用と効果の点でより合理的なものを選択していく必要がある。

菅内閣は、中国の動向をどうみるかについて、早急にバイデン政権と、深い協議を行い、その見解を可能な限り一致させる必要がある。
とくに中国が力ずくの一方的行動によって国際社会の現状を変革しようとしている点は、きわめて遺憾であり、なおかつ危険な行為である。こうした一方的な力の行使による現状変更の試みは、東シナ海、南シナ海、台湾海峡と日本の国益に直結する地域で展開されており、いずれも到底容認することはできないという点について、認識を共有すべきである。同時に、わが国が米中対立の漁夫の利を得ようとしているかのように見える行動は控えるべきである。

具体的には、尖閣諸島の防衛、台湾、日米豪印(Quad)協力の強化、「自由で開かれたインド太平洋(FIOP)」構想、一帯一路と経済支援の必要性、米国との分業、ベトナム・フィリピンとの協力強化、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的協定(CPTPP)、地球環境や対ロシア関係などについて論じる。

(注: 本提言は研究所自身の見解を示すものではない)


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