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2021/04/12
NPIメールマガジン 日米同盟の評価をめぐる米国での実験調査結果

中曽根平和研究所・米国大統領選挙と北東アジア研究会では、日米同盟の評価をめぐり米国での実験調査を行い、メイン分析を終えましたので、ご報告します。
(くわしくは https://www.npi.or.jp/research/2021/04/08114141.html )

今後は、州ごとの特徴、さらに居住地、党派、メディア接触などによって回答者をサブグループに分けての調査結果分析を配信する予定です。
(報告者 小浜祥子 当研究所客員研究員・北海道大学大学院公共政策学連携研究部准教授)

以下は報告の概要です。

【調査目的】
今後、日米同盟そして日本に求められる役割の再定義が、米国の政策決定者および有権者の間で起きていく可能性が高いことから、米国の一般有権者の対日認識がどのような情報提供によって影響を受けるのかをランダム化比較試験(Randomized Control Trial: RCT)の手法を用いて明らかにする。
RCT は現在、社会科学分野でも幅広く取り入れられているが、日米同盟についてそうした実験調査がなされたことはなく、管見の限りでは、本調査が初の試みである。因果効果を厳密に計測できる手法を導入することにより、日本の対米戦略や米国市民向けの広報外交において何を重視すべきか、エビデンスに基づく政策提言を行う。

【調査手法】
調査は、米国市民を対象として2021 年3 月にインターネット上にて実施。対象地域は中西部(オハイオ州およびペンシルベニア州)、フロリダ州、カリフォルニア州の三つ。 
参加者を次の6つのグループに無作為に振り分け、同じ質問をして回答を得た。
(1) 日本に関する情報を全く与えなかった「統制群」
(2) 日米の同盟・貿易関係についての事実を提示した実験群
(3) 日米関係の事実(2)+バイデン大統領による肯定的評価を追加提示
(4) (2)+トランプ前大統領による「思いやり予算」増額要求を追加提示
(5) (2)+日系企業により地域経済への貢献を追加提示
(6) (2)+日米同盟にとっての中国の脅威を追加提示

【わかったこと】
(1)日米の同盟や貿易関係について、わずか100字程度の情報を提供することにより、日本に対する好感度を大きく引き上げることができる。大統領が日米同盟を重要視しているという情報を示すことで、日本への好感度はさらに高まる。よって首脳会談が報道されることや、報道の中で日米関係の基本情報が提示されることは非常に効果的と考えられる。他方で、中国との対立構造を強調することによって日本の好感度を上げることはできない。
(2)日米の同盟や貿易関係についての情報提供は、日米同盟やアメリカの安全保障にとっての日本の重要性に関する評価を改善する効果がある。他方、トランプ前大統領の「安保タダ乗り批判」には、日米同盟の評価を引き下げる無視できない負の影響があった。
(3)アメリカ人に同盟国の価値を順位づけしてもらった場合、他の同盟国と比較して日本の順位を押し上げる効果を持ったのは、日系企業によるアメリカの地域経済への貢献や中国の脅威を強調するような情報提供であった。
(4)日本には気候変動問題への対応を含め幅広い貢献が期待されているが、日米関係の重要性についての情報を提供することによって高まるのは、日米が外交政策において足並みを揃えることへの期待であるのに対し、中国の脅威を強調することによって高まるのは、日本が自由や民主主義といったアメリカ的な価値を擁護することへの期待感であった。


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