2021/12/02
NPIメールマガジン 「文在寅政権の対北政策と今後の展望」
北東アジア情勢研究会はコメンタリーNo.4にて、 第5回研究会での議論を踏まえた、横溝未歩 協力研究員による「文在寅政権の対北政策と今後の展望」を掲載しました。
<概要>
2017年に発足した韓国・文在寅政権の対北政策は、「平和最優先」であり、統一については「段階的・漸進的」に進めていくことを基本としていた。これは、当時の北東アジア情勢が、北朝鮮による継続的なミサイル発射実験(7月にはICBMまで発射された)により大きな緊張に包まれていたことに由来する。
文政権は、北朝鮮に18年の平昌冬季五輪への参加を呼びかけ、北朝鮮側もこれに応じたため、南北融和の雰囲気が一気につくり出され、4月には板門店で南北首脳会談が開催された。
しかし、一見、文政権のイニシアティブで対話が進んだように見えるが、実際には北朝鮮側が17年11月までの発射実験で、米本土全域を核攻撃することができるミサイルを実用化したため、もはや新たな核実験も発射実験も不要になったから進展したに過ぎない。
19年2月のトランプ米大統領(当時)と金正恩氏との会談が決裂した「ハノイ・ノー・ディール」の結果、北朝鮮は韓国がどうとりなそうが対米交渉への期待を止め、再び軍事力強化の道を選ぶことさえ示唆した。
文政権は、その後も朝鮮戦争「終戦宣言」のような米朝関係の仲裁者の役割や、新型コロナウイルス感染症のワクチン支援といった人道支援策など、北朝鮮との関りを継続しようとしてきたが、北朝鮮はそれらをどう受け止めているのか。
また、21年9月に、SLBM発射実験の成功を見た文在寅氏は、「ミサイル戦力の増強こそ、北朝鮮の挑発に対する確実な抑止力だ」と述べたが、これを含む韓国の「自主国防力」強化の動きを北朝鮮はどう受け止めているのか。
本稿では、文政権による諸々の働きかけが、本当に北朝鮮にとって有益だと感じるものなのかどうか、ひいては、そもそも韓国をどう位置付けているのか検証していく。
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