2014/04/07
人口減少の下での日本経済 ~概観~
藤江泰郎(主任研究員)による報告を掲載しました。
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我が国の人口は、2010年の128百万人をピークに減少に転じています。戦後、我が国の経済は、人口の増加が前提となって発展を続けてきました。この人口の減少が、我が国の経済の仕組みにどのような影響を与えていくのか、それを回避するにはどうしていったらよいのか、という点について、今後検討をしていきたいと思っています。
2013年10月に世界平和研究所は、創立25周年の記念提言として、「平成50年、世界で輝く日本たれ」と題する提言を発表しました。この提言の柱の一つとして少子化対策を取り上げ、「我が国の継続的な発展のためには出生率を2にまで回復させなければならない」ということを提言しています。この創立25周年記念提言の内容をもとに、2014年1月に、「出生率=2を目標とした異次元の少子化対策を」と題した研究レポートも発表しました。こうした少子化対策も、人口減少の下での日本経済を考える上での重要な一部分であると考えます。人口減少の下での日本経済を論じるよりも先行して少子化対策についてのレポートを発表した訳ですが、これからは少子化対策以外の分野について人口減少の影響を分析、順次検討していきたいと考えています。
今回は、「概観」として、こうした人口減少の下での日本経済を考えていく上で検討の対象となりうるいろいろな分野について、現状を把握するとともに、今後の検討上の論点について整理出来ればと考えています。そのために、考えうる分野について、広く、薄く状況を見ていこうと思います。言わば、次回以降の検討の「予告編」のようなものと受け取っていただければと思います。なお、人口減少の財政に与える影響も一つの大きなテーマですが、これは本研究所の北浦修敏主任研究員の研究に委ね、私は財政以外の分野について検討したいと考えております。