2018/11/14
第11回日中関係シンポジウム
(前列左から6人目程永華駐日中国大使、呉外交学会会長、中曽根NPI副会長、薗浦総理補佐官、渡邉NPI顧問、豊田日中投資促進機構会長、藤崎NPI理事長、長谷川NPI監事、田中日本総研国際戦略研究所理事長。2列目左から9人目丸川東大教授、津上国問研客員研究員、小堀NPI特任研究顧問)
中曽根平和研究所(NPI)と中国人民外交学会は2018年11月13日に「日中関係シンポジウム」を東京で開催した。今回のシンポジウムにおいては、7年ぶりの安倍総理訪中の際に日中関係を「競争から協調」に向ける旨首脳間で確認した直後であり、全体として前向きな議論が活発に行われた。
本シンポジウムは、政治・安全保障・経済・国民交流等に関する日中間の課題の議論を目的に2007年に日中国交正常化35周年を記念して始まって以来、両国の関係者が交互に訪問する形式で実施されてきた。
第11回に当たる今回は、中国から呉海龍人民外交学会会長を団長とする13名が来日し、日本からは中曽根弘文NPI副会長を始めとする14名が議論に加わった。シンポジウム開会式では、中曽根弘文NPI副会長、呉外交学会会長及び程永華駐日中国大使が挨拶を行った。
第1セッションでは、「北東アジア情勢」をテーマに、藤崎一郎NPI理事長を議長として、田中均・日本総研国際戦略研究所理事長と張蘊嶺・中国社会科学院学部委員から報告があり、その後、コメンテーターの薗浦健太郎・総理補佐官と寧賦魁・元駐カンボジア大使も交え、意見交換を実施した。主に北朝鮮問題に関する議論が実施され、北朝鮮制裁解除と対話のバランスをいかに図っていくかについては立場の違いがあるものの、非核化に向けた努力の継続が日中の共通の利益であることについては、双方の認識共有が図られた。
第2セッションでは、「世界貿易の課題」をテーマに、江瑞平外交学院副院長を議長として、趙晋平・国務院発展研究センター対外経済研究部元部長と丸川知雄東大教授から報告があり、その後、沈丁立・復旦大学教授と津上俊哉・国問研客員研究員も交え、意見交換を実施した。双方は、世界貿易の自由化に向け、米国発の課題やRCEP等の広域連携の必要性を共有した。また、中国は経済の構造改革を進める中、日本に対して、世界貿易の自由化や第三国での協力等の期待を寄せ、日本は、中国が既に大国となり、責任も増し、官の過度な支援等、改善すべき部分も必要である旨を提案する等、世界貿易の課題の解消に向け相互の理解を深めた。
第3セッションでは、「首脳交流を踏まえた日中関係の展望」をテーマに、北岡伸一NPI総括研究顧問(JICA理事長)を議長として、川島真NPI上席研究員(東大教授)と楊伯江中国社会科学院日本研究所副所長から報告があり、その後、コメンテーターの遠山清彦衆議院議員と陳小工元空軍副司令も交え、意見交換を実施した。両国間には問題もあり慎重な対応が必要ではあるが、両国の首脳交流を受けて、「協調」を実現していくための原則的考え方、意義、方法について率直かつ建設的な提案・意見交換が行われた。若い世代間では相互理解が進んでいることを歓迎し、「協調」を続けることによりこの好転を不可逆的なものにしていくことが重要との双方の認識が醸成された。
当日のシンポジウムとレセプションを通じ、NPIと人民外交学会の協力、日中両国の協力を一層進めて行く旨確認された。
(以上)