2020/04/17
高橋主任研究員の研究レポート「東京都心通勤と新型コロナウイルス感染拡大:1都7県のデータからの検証」を掲載しました。
高橋主任研究員の研究レポート「東京都心通勤と新型コロナウイルス感染拡大:1都7県のデータからの検証」を掲載しました。
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(要旨)
新型コロナウイルス感染症の陽性患者が東京を中⼼に指数関数的に増えている。政府は2020 年4 ⽉7 ⽇に新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき緊急事態宣⾔を発令し、東京圏では1都3県が対象地域となった。そして4 ⽉16 ⽇には対象地域が全国に拡⼤した。陽性患者数は基本的に住居地で公表されるが、患者は住居地で感染しているのであろうか、通勤過程で感染しているのであろうか。その問いに答えるため、⾃治体毎の患者⽐率と都内などへの通勤率の関係を分析した。その結果、以下のことが明らかになった。
・ ⼈⼝当たり陽性患者数が全国的にも⾼い都内6区(港区、新宿区、渋⾕区、台東区、中
央区、⽬⿊区)では市中感染が広範に起きている可能性がある。
・ 埼⽟県、千葉県、神奈川県などの⾃治体での感染は上記都内6区への通勤者を中⼼に起こっている可能性がある。例えば、さいたま市では陽性患者の10 万⼈当たり3.78 ⼈(4 ⽉13 ⽇現在の感染者の80.7%)は通勤移動に伴う感染経路と考えられる。
経済社会への影響を最⼩限としつつ最⼤の効果を上げるためには、感染のホットスポットである地域を洗い出し、⼈と⼈の距離を取ることが必要である。具体的には以下の取組みを組み合わせていくことが求められる。
・ 接触率を下げるには「密集」「密閉」「密接」の3密以外での感染が広がっている可能性が⾼く、⼈と⼈との距離を2メートル開ける社会的距離戦略への重点の転換。
・ 盆暮れ休暇の前倒し、交代制などによる企業の対応による通勤混雑、オフィスでの接触率の削減。その際、欧⽶で仕分けしている「必要不可⽋とはいえない業務」の洗い出し、通勤距離の⻑い者の⽅が他者との接触率が⾼いことを踏まえた近距離通勤者を中⼼とした業務計画の⽴案が必要。
・ 感染の発⽣を公表している企業などの位置情報を集約したオンラインマップ・サイトを政府が⽴ち上げることが必要(少なくともそうした情報を集約・公表)。
・ 陽性患者については居住地に加えて勤務や出張の市区町村名を公表した感染ホットスポットの洗い出し。加えて政令市では川崎市のように居住地の区名の公表、神奈川県については住居地の市町村名の公表が必要。
・ 社会的距離戦略では重要になる混雑率のJR、私鉄などからの路線ごとのリアルタイムでの公表
キーワード: 新型コロナウイルス, 陽性患者数, 東京都, 1都7県, 通勤
以上