2021/12/09
安江主任研究員によるコメンタリー「中国の『話語権』~言葉の意味・起きていること・今後のポイント~」を掲載しました。
米国のピューリサーチセンターは、2021 年 2 月~5 月、先進的な 17 の国と地域の成人 18,850 名を対象に、世界各国に対する好感度を調査した。中国に対して最も否定的だったのは日本(88%)、次いでスウェーデン(80%)、オーストラリア(78%)、韓国(77%)だった。米国、カナダ、ドイツでは、中国への否定的な見方が過去最高となった。(各 76%、73%、71%)。1 非営利シンクタンク言論 NPO による「第 16 回日中共同世論調査(2019 年 11 月公表)」の結果でも、「中国に良くない印象」を持つ日本人は 89.7%で前年から 5%上昇、2021 年も 90.9%であった。2 これらの結果は、西側諸国に映る中国の戦狼外交、急増する軍事費、近隣諸国の接続海域への侵入、香港や新疆政策等と関係している。そしてこの背景の一つに、日本ではあまり知られていない「話語権」の強化がある。この言葉は「中国の夢」と密接で、中国的にはソフトパワーと位置づけられている。本稿では、「話語権」の意味、なぜ話語権なのか、話語権のもとに展開されている活動と今後のポイントを考える。