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外交・安全保障

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2022/03/31
海洋安全保障研究委員会は2021年度研究報告「領域警備を巡る諸問題」を掲載しました。

●陸上の国境を有しない海洋国家日本において、領域警備(国境警備)という課題の重要性はいまだに身近なものとして定着していない。過去、能登半島沖不審船事案、九州南西海域工作船事案また領水内潜没潜水艦事案を受けて一時的な国民の関心を呼ぶことはあったが、領域警備の在り方に関して本質的な議論に至っていない。


●しかし、尖閣諸島に対する中国側の活動は、まさに領域警備の問題を正面から突き付けられた我が国が取り組むべき安全保障上の喫緊の課題である。


●尖閣の問題は、尖閣単独の事案あるいは台湾有事との関係で派生する事案が考えられるが、当研究会では領域警備に関する問題点を浮き彫りにするために、尖閣単独の事案に絞って検討した。


●また、この領域警備の問題について「本格的な武力攻撃には至らない、国家主体[1]あるいは非国家主体[2]による領域侵害」という事態にわけて分析してきたが、「武力攻撃とは認定しがたい国家主体による領域侵害」に如何に対応すべきかが、本問題の核心であるとの結論に至った。


●この問題を解決するために、海上保安庁(以下、海保)の強化や警察機関と自衛隊の連携強化を含め国家の総合力をより効果的に発揮することが不可欠であると同時に、防衛と治安維持に関する法制度の見直しの必要性も指摘されるが、法改正には国民的議論を含め長期間を要すると考えられることから、これを極力避け、政策判断で現状を改善し得る速効性を優先した提言を模索した。


●また、今回のロシアによるウクライナへの侵略については、事態がどの様に終息するかは予断を許さないし、ロシア・ウクライナの関係と中・台関係とは状況が異なり単純な類推はできず、中国も同一視しているとは考えられないが、本研究会のテーマとの直接的な関係では、ハイブリッド戦の状況やその効果といった点については、中国も大きな関心を有しているものと思われる。


[1] 海上民兵は中国人民共和国国防法(以下、中国国防法)第22条により軍隊(武装力量)と位置づけられており、現場において海上民兵と明らかに識別できる場合には国家主体として位置づける。また、中国海警は中国国防法により軍隊(武装力量)と位置づけられている。海警艦船が軍艦としての地位を有するのかは現時点では明確になっていないが、当然国家主体として位置づける。

[2] 民間漁船及びこれに乗船する漁民あるいは、漁民を装った海上民兵が考えられるが、海上民兵であることが明確でない場合には非国家主体として位置づける。

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