2024/06/24
ロシア研究会コメンタリーNo.4「カザフスタンのミドルパワー宣言 ――大国追随でも「グローバルサウス」でもない第三の道――」(宇山智彦・北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター )を掲載しました。
カザフスタンは旧ソ連地域でロシアに次ぐ第2の経済大国で、中央アジアの地域大国であると同時に、独自の外交イニシアティヴを発揮する姿勢でも知られてきた。1992年にアジア相互協力信頼醸成措置会議(CICA)の設立を提案して現在に至るまで事務局を務めているほか、反核外交、国際連合や欧州安全保障協力機構(OSCE)など国際機関の活動のサポートや、紛争解決の仲介に取り組み、2017年からは「アスタナ・プロセス」と呼ばれるシリア和平交渉をホストしてきた。2つの<巨大な隣国であるロシア・中国との関係を重視しつつも全方位的な外交を行い、ウクライナ侵略戦争についてはロシアを正面から非難しないものの支持しない態度を明確にしている。2024 年 6 月にスイスでロシアを招かずに開かれたウクライナ平和サミットには、カザフスタンは最終的には日程上の都合を理由に参加しなかったものの、直前まで参加の可能性を留保していた。