2025/03/31
海洋安全保障研究委員会コメンタリーNo.4「米国の「一つの中国政策」における平和的手段、武力行使、強制」(相澤李帆・防衛省防衛研究所研究員)を掲載しました。
トランプ政権発足後、米国国務省が「米国と台湾の関係」に関するファクトシートを更新し、「台湾の独立を支持しない」とする文言を削除したことが注目を集めた。その他にも、米国の「一つの中国政策」を構成する文書等で示されている立場をより明確に示すための修正が施されている。例えば、「我々は両岸間の相違が平和的手段によって解決されることを期待する」という従来の文の「平和的手段」の後に、「強制の無い(free from coercion)」という文言が新たに付け加えられた。一般的に「強制」とは、圧力や威嚇を通じて、相手に特定の行動を取らせる、または控えさせることを目的とする働きかけを指す。この修正は「平和的手段」には「武力行使」のみならず「強制」も含まれないとする米国の立場を、より明確に示す意図があると考えられる。
そこで本稿では、米国の台湾海峡関連政策の基軸である「一つの中国政策」において、「平和的手段」、「武力行使」、および「強制」がどのように整理され、いかなる政策指針が掲げられてきたかを紐解く。