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2018/11/06
中国経済研究会第2回「中国デジタル企業の躍進と展望」研究会内容を掲載しました。

2回  「中国デジタル企業の躍進と展望」

NTTデータ経営研究所  シニアスペシャリスト

                        岡野 寿彦氏

時: 2018 710日(火) 14001600

場 所: 中曽根平和研究所 7階大会議室

詳細はこちらからダウンロードこちらからダウンロードいただけます。


(要旨)

●中国デジタル化をけん引している、代表的プラットフォーマーである「BAT」(アリババ、テンセント、百度(バイドゥ))の急速な成長の主要因は、ビジネス生態系(エコシステム)の運営を通じて、「社会の困りごと」を解決してきたことであり、ここには中国政府の政策との密接な関係性が存在。

●プラットフォーマーの主要機能は以下4点:

(1) 企業(プロデューサー)と消費者を集める (2) ツールや情報提供により両者のマッチングを促進する (3) 取引費用を下げるなど、『社会の困りごとの解決』におけるプラットフォームの役割価値を高める (4) プラットフォームの品質を保つための取引ルールを制定する

●一方、中国政府の関連政策としては、2015年に制定された「インターネット+」が存在。これは、インターネットに関する国家戦略、社会の変革の考え方とともに、「+工業」「+金融」「+能源(エネルギー)」「+健康、教育」、「+智慧(スマート)生活」など、各社会分野におけるインターネット活用の機会分析、事例をガイドライン的に示したものであり、「結びつく」ことによる「イノベーション創出」を企図したもの。この「インターネット+」と、起業・イノベーション推進政策としての「大衆創業 万衆創新」、産業政策としての「中国製造2025」を統合的に進めて、量から質への転換、中国企業の国際競争力強化を進めるのが中国政府の『イノベーション大国戦略』の骨格。

●中国インターネットビジネスの起業事例の多くは、(1)「社会の困りごと」を見つけてはその解決をデジタル技術活用によりプラットフォームサービス事業化し (2)政府政策とのリンクで支援を獲得し  (3)如何にお金を集めて事業として廻すかプランニングしつつ先行投資型で事業化するというもの。この背景には、中国企業人のチャレンジ精神、「走りながら考える」という行動様式や、政策スタンス、ならびに"失敗やミスに対して寛大(無頓着)な社会"が存在。

●中国デジタル化は、ここまで、基本的にオープンな環境で企業や消費者が参加して成長してきたが、競争が激化する中で事業者が淘汰され、生き残った企業の市場支配力が高まり、消費者の利便性が犠牲になるような局面に転換しつつある。中国政府はこれまで、電信、航空など産業分野で、企業の統廃合を進めて3社程度の企業に再編して競争させる&国際競争力をつけさせる政策を取ってきたが、デジタルビジネスは「勝者総取り」の独占状態が起こりやすく、中国政府の産業政策においても課題。

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