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経済・社会

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2020/09/10
岸主任研究員による研究ノート「MMTを振り返る」を掲載しました。

岸主任研究員による研究ノート「MMTを振り返る」を掲載しました。

本文(PDF)はこちらからダウンロードできます。

(要旨)

2018年以来、米国や日本において注目を集めているMMTは、ポスト・ケインズ派の経済学であり、主流派(新古典派、ニューケンジアン)の経済学とよって立つ前提条件が異なっている。また、大きな主張の一つに主流派にはみられない「生活し得る賃金での完全雇用」──雇用保障プログラム──が含まれている。

MMTが注目を集めた背景には、「財政赤字の規模は問題ではない」といったセンセーショナルなスローガンがまず挙げられる。加えて、主流派が、サブプライムローン問題及びリーマン・ショックによって政策のバックボーンとしての正当性に疑問符が付いたことに加え、格差が拡大する中、主流派が等閑視する自然失業率やインフレ率という理論の裏側にある失業「者」の存在を明示的に問題視したこともあろう。また、そうした失業は「自己責任」であるとする新自由主義に抗議する足許の時流に乗ったこともあげられよう。

・コロナ禍により失業者が急増し、財政支出が増加する中、MMT般(含む政治家)には分かりやすく魅力的な経済「政策」に見えるだろう。これまでの経済政策の歴史が、必ずしも理論的に正しいとは言い難いものも選択肢に選ばれてきたことを顧みれば、民主的手続きに則り、将来、それと明示されることなくMMTが政策に採用される可能性は十分ある。

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