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経済・社会

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2021/03/04
岸主任研究員による研究ノート「コロナ後の財政政策の考え方」を掲載しました。

岸主任研究員による研究ノート「コロナ後の財政政策の考え方」を掲載しました。

本文(PDF)はこちらからダウンロードできます。

(要旨)

・ 足許の日本の財政赤字は、コロナ対策の結果、その水準および対GDP比率でみてもかつてない規模に達し、「財政危機」があらためてクローズアップされている。これに対して、過去20年数年と同じように増大する社会保障費の削減と消費税率の引き上げによってこの危機を乗り越えることが唱えられている。しかしながら、現下のコロナ禍で疲弊した経済状況および当面継続する少子高齢化を前提としないこうした対策は、民主主義的意思決定下においては実現が困難なほか、マクロ経済的な視点、国民国家の維持の観点からは採用すべきではないと考えられる。

・ 一方、この20数年に渡る財政再建の必要性についての考え方の背景をみると、かなり強い仮定を置かないと成立しない学説、財政赤字解消以前に解消すべき少子高齢化を前提としない将来負担の議論、歴史的に特殊な状況を一般化する誤りを犯しているハイパーインフレーションの議論、国民国家における政策意図として「(長期)金利<成長率」(ドーマー条件)を可能にしている新しい状況を無視した議論など、いずれも現状が「財政危機」であるとの根拠は薄弱である。

・ 従来の考え方に基づいた財政赤字の規模等への「恐れ」に基づいて財政危機を唱えるのではなく、財政赤字を採用する政府がより「賢明」な支出を行っているか、すなわち国民(および海外市場)に信認を得られる支出を行っているか否かという視点で財政政策を考えるべきであろう。

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