English

外交・安全保障

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

2023/03/29
海洋安全保障研究委員会は2022年度研究報告「インド・太平洋地域の安定化と危機への日本の対応」を掲載しました。

 本研究会は2020から始まり2022年で最終年度を迎える。2020年度は、バイブリッド戦の典型と言われた「ロシアのクリミア侵略(2014年)」を参考にしつつ尖閣問題における日米協力を主眼に、グレーゾーン事態(以下GZ事態と呼称)における「ハイブリッドな戦い」について分析、提言した。

 2021年度は中国の海警法の制定を踏まえ、特に国家主体を体現する軍艦・公船による領域侵害に対する「領域警備問題」について、法的側面から分析した。その際、領海内で無害でない軍艦・公船に対し法的に断固として適切に対応できるように備えることが領域警備の「核心」であることを指摘した。一方、サイバー攻撃、世論操作等のあらゆる手段を含むハイブリッド戦は、現場と中央の指揮統制を混乱させ、あるいは現場における多様な妨害により、我が方の対処行動を直接的に阻止、無力化させる。また、認知領域での効果を狙った各種手段(影響工作、世論操作等)により政府の意思決定を混乱、遅延させることが考えられる。これは領域警備の作戦に影響を与えるだけでなく、国家安全保障の屋台骨を揺るがしかねず、それを解決するためには、政府関係機関が一体となり「ハイブリッド脅威を評価し、対策を講ずる」ための体制の必要性を提言した。

 これまでハイブリッド戦に関する研究を積み重ねてきた本研究会としては、2021年以降ロシアがウクライナに対して行ってきたGZ事態におけるハイブリッド戦からその後現在進行している本格的軍事侵攻に至る過程の中に、数多くの教訓、課題が隠されているという認識を有している。それらを踏まえつつ、「インド・太平洋地域の安定化と危機への日本の対応」について分析・検討、提言を試みる。

< 前のページに戻る

外交・安全保障の最新記事

記事一覧へ >

政策提言の最新記事

記事一覧へ >

他の研究活動

公益財団法人 中曽根康弘世界平和研究所(NPI)
Copyright ©Nakasone Peace Institute, All Rights Reserved.